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不登校が「過去最多」哲学者は「不登校が増えている状況」をどう見るのか。
2023.03.29

おおたとしまさ×苫野一徳対談 1

不登校が「過去最多」哲学者は「不登校が増えている状況」をどう見るのか。

小中学生の不登校児童生徒数は前年度から4万8813人(24.9%)増の24万4940人で過去最多――。
これは、2022年10月27日に発表された『児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要』(文部科学省)のデータによるものだ。過去5年間の傾向として、小学校・中学校ともに不登校児童生徒数及びその割合は増加、全体の不登校児童生徒数は9年連続で増加している。

教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏の『不登校でも学べる』はフリースクールから不登校専門塾、不登校特例校、教育支援センター、通信制高校、公立校や私立校などを徹底取材、実例やデータも掲載し、令和の今の「不登校」に関する情報をまとめた一冊だ。「不登校」という言葉をなくすためにできることを、哲学者で教育学者で、『どのような教育が「よい」教育か』『教育の力』『学問としての教育学』など多くの著書を持つ苫野一徳と熱論。

5回に分けてお届けする第1回は「良い教育」とは何かについてお伝えする。

よい教育とは何か

おおた 教育学あるいは哲学の観点から不登校をどう捉えればいいのか、そこからどういう実践的なアプローチが考えられるのかということを伺っていきたいと思っています。拙著『不登校でも学べる』(集英社新書)には帯コメントまで寄せていただきまして、本当にありがとうございました。苫野さんからご覧になれば、いろいろ突っ込みどころがたくさんあるんだろうと、原稿を見ていただくのも恐る恐るではあったのですが。

おおたとしまささん

苫野 いえいえ。方向性というか、思考のフレームワークみたいなものは、ものすごく共有させていただいていますし、その上でこの情報量なので、本当にただただ勉強させていただきました。

おおた では本題に入っていきましょう。苫野さんは「よい教育とは何か」という問いに対して、その原理を各人の「自由」と「自由の相互承認」そして「一般福祉」と端的にまとめていらっしゃいます。教育関係者においては苫野さんの提言はいまや有名ですけれども、一般の読者さん向けにいまいちど説明してもらえますか。

Photo by iStock

生きたいように生きられる

苫野 これまでの教育議論、あるいは政策や実践においては、そもそも教育とは何なのか、どうあれば「よい」と言えるのかという問いが、ストンと抜けていることが多かったんです。でもその土台を欠くと、信念とか主義主張とか、ほとんど趣味みたいな話で議論が進んでしまいます。そうすると、結局、声の大きい人の思惑に沿って進んでいくみたいなことがずっとあったわけです。

しかし、教育はそもそも何のためにあるのかとか、どうあれば「よい」と言えるのかということ自体、学問的にほとんど探究さえされない事態がずっと続いていました。そこで私は、もちろん絶対に正しい教育などはないんですが、それでもなお、「どうでしょう? ここまでだったらみんな納得できないでしょうか?」と提案することを、これまでいちばん大事な仕事としてやってきました。

結論を簡潔に言います。教育は、全ての人が自由に生きられる力を確実に育むためにある。もちろん、ここで言う「自由」はわがまま放題のことではなくて、生きたいように生きられるということです。

苫野一徳さん 
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