「世襲の、世襲による、世襲のための政治と“美しい国”日本」…二世でないと政治家になれないこの国の10年後がヤバすぎる

生まれ持った地位や財産に関係なく、幸せになれる世の中を作ろう―そんな先人たちの思いを、国のトップたる岸田総理が嘲笑う。いつから日本は、親の力で人生が決まる国になってしまったのか。

前編記事『【総理の息子】岸田翔太郎さんも【岸信夫の息子】岸信千世さんも皆「優先パス」で政治中枢に…なぜ日本は「世襲の政治家」ばかりなのか?』より続く。

麻生・二階「権力の相続」

初当選から総理までの道をマラソンにたとえれば、世襲議員は20km地点から車に乗ってスタートできるようなもので、非世襲の議員とは圧倒的な格差がある。まして、父親や伯父が総理ともなれば、周囲が下に置くようなことは決してない。岸田翔太郎氏や岸信千世氏も、小泉進次郎氏と同様、たとえ能力に多少の難があろうとも、若くして自民党の中枢に食い込んでいくことが約束されているのだ。自民党のベテランスタッフが言う。

「他にも、これからの出世頭には世襲組が目立ちます。小泉純一郎政権で農水大臣や幹事長を務めた武部勤さんの息子・新さんは、他に有力議員が少ない農政族で、かつベテラン議員が少ない北海道が地元のため、近いうちに農水大臣や道連会長に就くことが確実。二代続けて『小泉総理・武部幹事長コンビ』になるかもしれません。

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元官房長官の塩崎恭久さんの長男・彰久さんはおととしの衆院選で初当選しましたが、政策立案能力と人柄が図抜けていると早くも評判で『嫌われていた親父よりも出世するだろう』と言われています。参議院でも元官房長官の青木幹雄さんの長男・一彦さんが、悪目立ちせず足場を固めて『二代目・参院のドン』の道を確実にしつつある」

現時点で「次期総理候補」と言われる大物も、林外務大臣や河野デジタル大臣など先にも挙げた世襲組ばかりで、叩き上げは茂木敏充幹事長くらいだ。一方、80代に入って引退を控えた麻生氏や二階俊博・自民党元幹事長ら長老も、息子たちへの地盤継承に動き始めている。次世代が頭角を現す2030年前後には、総理や閣僚、幹事長クラスをすべて世襲議員が占めてもおかしくない。

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