2023年3月16日、国立がん研究センターは、2010年に「がん」と診断された患者約34万人の10年生存率が、53.3%だと発表。今回の調査から国際的に広く使われている「純生存率(ネット・サバイバル)」の手法を採用。それゆえに、以前の「相対生存率」とは算出方法を変更しているので、数値上の生存率は下がったとされるが、同センターは「実質的な生存率の改善傾向は続いている」という。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「がんなどの大きな病がわかり、死を意識したことで行動を変える人は多いです」と語る。彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。
今回、山村さんのところに相談にきたのは、義之さん(会社員・40歳)だ。「先月、妻にがんが見つかってから、妻の行動がおかしいのです」と語る。
この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
妻は高校の8年先輩「雲の上の人」
今回の相談者は義之さん(40歳)です。8歳年上の妻と結婚して15年になるそうです。これまで会った経験では、年上の女性と結婚する男性の多くは、どこか幼く危なっかしいところがあるのですが、まさに義之さんはそのドンピシャともいえる人でした。
童顔で優しい雰囲気で、背が高くスタイルがいい。メッシュを入れたヘアスタイルが若々しい印象です。ブランドロゴがプリントされたパーカーとダメージデニムというファッションで、スリムな体型もあいまって実年齢よりも若く見えます。夫婦について伺うと「奥さんは高校の先輩なんです」と語り始めました。

「僕が奥さんのことを知ったのは、高校生の時。ウチらの地元は高校を卒業するとだいたいそのまま結婚して、家の仕事を継ぐか、市役所とか工場に勤めるんですけれど、奥さんはすごい勉強ができ、東京の大学に奨学金でいったんですよ。“卒業生の話を聞く会”みたいなのに来て、話をしてくれたんですけど、雲の上の人みたいな感じでした」
当時、義之さんは高校1年生、妻は名門私立大学を卒業し、大手企業に入社して1年目。故郷に錦を飾るような職業講演に登壇し、後輩を鼓舞したのです。
「その時に、俺は花束を渡す係だったんです。それまで、優等生がその係だったんですけど、地元の新聞が取材に来ることが決まって、俺になったんです。俺って小さい頃からカッコいいって言われていましたから。姉ちゃんがアイドル事務所とか、雑誌のモデルとかに応募すると、だいたい二次審査くらいまでは突破したんですよ」
花束を渡して「いい匂いがする人だ」と思ったそう。