「がんなどの大きな病がわかり、死を意識したことで行動を変える人は多いです」と語るのは、浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の山村佳子さん。
2023年3月16日、国立がん研究センターは、2010年に「がん」と診断された患者約34万人の10年生存率が、53.3%だと発表。今回の調査から国際的に広く使われている「純生存率(ネット・サバイバル)」の手法を採用。それゆえに、以前の「相対生存率」とは算出方法を変更しているので、数値上の生存率は下がったとされるが、同センターは「実質的な生存率の改善傾向は続いている」という。

前編「8歳年上、生活費すべて持つ大黒柱の妻ががんに…「浮気夫」の身勝手すぎる衝撃発言」では、会社員の義之さん(40歳)さんが結婚15年になる妻(48歳)から離婚を切り出された経緯を紹介した。1ヵ月前、妻にステージ3のがんが見つかる。大手企業に勤務し、家の大黒柱である妻はそれから離婚を迫るようになったという。妻の経済力があるから、義之さんは前妻との間にいる2人の子供の養育費も払うことができた。義之さんは給料も安く、貯金も家もないが、妻を看病する覚悟はあり、「妻は財産を自分に残さないために離婚をするのではないか」と考えている。離婚するとしても有利に進めるために、妻の調査を開始した。

 

「仕事ができる女性」のオーラが

妻は毎朝7時に家を出るというので、6時半から23区郊外にある自宅マンション前で張り込みをスタート。
7時にトレンチコートを着た妻が出てきます。写真で想像するよりも小柄できゃしゃですが、仕事ができる女性のオーラがビシッと出ていました。大手町にある会社に出勤し、17時に退勤。

「仕事のできる女」オーラが Photo by iStock

調査初日はワインバーで大学の友人らしき女性と話をして22時に帰宅。妻は友達にがんのことを話し、相手もいたわりながら「そういう年齢だよね」と応じていました。会話中、妻は「病気は仕方ないよね。あのまま地元にいたら、こういう時間はもてない」と語っていました。

義之さんと妻の地元は封建的で知られる北陸地方。男尊女卑で「女に学問は必要ない」という空気の中、妻はすべてをなげうって東京に出てきていることがわかりました。妻は実家とも関係を断っており、「病気のことは親には言わないし、会いたくもない」と語っていたのです。

妻は「こう」と決めたら一直線の性格のようで、かなり厳しい行動規範を自らに課していました。友人も妻が食事も節制し、酒の量も気をつけていることはよく知っており、「なんであんたががんになるんだろうね」と首をかしげていたのです。

妻は自分の嫌いなものが冷蔵庫に入っていると義之さんに投げつけたそうですが、友人に対しても「生ハムの脂身は太るから食べない方がいい」「このアボカドは〇〇産だから、発がん性物質が入っている」などと解説。友人は慣れているらしく、聞き流していました。

友人は妻の苦言も慣れているようで…Photo by iStock