2023.03.31
# ライフ

30年間モラハラに苦しんだ56歳主婦が「がんが再発した夫」に黙って進める「いちばんの復讐」

「結婚を後悔したことがありますか?」

そんな問いを率直にぶつけているアンケート調査を、メディアではしばしば見かけることがある。「後悔したことがある」と回答した人の割合は、調査によってもまちまちだが、既婚女性500人にアンケートをとったある調査では、なんと過半数(53.8%)の女性が「はい」と答えている。

多くの夫婦は「仲良く添い遂げよう」と決意して結婚しているはず。だが年月が経ち、夫も妻も日々、少しずつ変化していき関係も変わっていく。子どもができて家庭がうまく機能しているように見える間も、実は刻々と夫婦の関係は前とは違うものになっている。このあたりで軌道修正しなければとどちらかが気づけばいいのだが、気づいても実行できないこともある。

そして迎えた熟年期、子どもは巣立ち、夫婦はまたふたりきりの時間を迎える。

本稿では前編記事に引き続き、夫と義母のモラハラに耐え、30年にもわたる結婚生活で4人の子をもうけたある女性の事例を紹介。

簡単には割り切ることができない夫婦関係について考えていく。

あんなに好きだった人なのに

「夫の大腸がんが再発したんです」

トモミさん(56歳・仮名=以下同)はうっすらと笑いを浮かべながらそう言った。なにやら不穏な空気が漂う。

3年前、夫が大腸がんになり、手術や抗がん剤の治療を重ねた。

「ちょうど定年になってすぐでした。夫が定年になったら、離婚したいとひそかに考えていたんです。娘たちからも『もういいよ、おかあさん。よくやったよ』と言われていたし。ところががんの宣告を受けて、夫を見捨てることができなくなった」

Photo by iStock
 

夫は定年後も嘱託として仕事を続ける予定だった。病気になったためにクビを切られるのではないかと思ったようだが、会社は週に何回かでもいいので来てほしいと言ってくれた。

「ホッとしましたね。夫もそれで生きる意欲を失わずにすんだようです。娘たちはあからさまに夫に反旗を翻して、仕事をするようになると次々と家を出て独立していったので、夫はなんとなく意気消沈していたんです。オレはいらない人間なんだとぼやくこともありました。私も長年の夫への恨み辛みがあったので、慰めることもしなかったけど」

自分でも不思議なくらい、夫への「情」はなくなっていたとトモミさんは表情を曇らせた。どうしてこんな関係になってしまったのだろうと、ずっと考えてきた。夫を尊敬していたのに、大好きだったのに、と。

「あんなに好きだったのだから、あの頃の気持ちに戻ろう、戻そうと思ってももう無理なんですよね。若いころを思い出そうとしても、夫が口元に薄い微笑をたたえながら嫌味を言うときの意地の悪い顔がいつも頭にあって。そこに義母の『あんたね』という声が重なって、本当にあの人たちの言いなりだったなということしか思い出せない。もっと自分の意見を言うべきだったとは思うけど、子どもがいたから揉めてめんどうなことになるのが嫌だった」

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