2023.05.15

喫煙しているのに「肺がん」になりにくい人は、じつは「遺伝子」に大きな違いがあった…!

「生まれ持った遺伝的な体質」は変えられる! 最新科学が示す「日本人が健康になる秘訣」とは?

親から受け継いだ遺伝子は生涯変わらないから、がん、糖尿病、認知症、高血圧、肥満など、さまざまな病気のリスクや体質は「遺伝的なものだし仕方ない」と思っていませんか。しかし、近年のゲノム生物学の進歩によって、生活習慣や環境で遺伝子の働きが変わり、「病気のなりやすさ」も変わることが明らかになってきています。日本人の遺伝子と体質の特徴を捉えていくと、どうすれば遺伝的なリスクを抑え健康に過ごせるかが見えてきます。

*本記事は『日本人の「遺伝子」からみた病気になりにくい体質のつくりかた』(講談社ブルーバックス』を抜粋・再編集したものです。

病気を押し返す力も「設計図」が決めている

喫煙しても肺がんにならない人がいるかと思えば、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染しても必ずしも胃がんになるとは限りません。そうであるなら、ゲノムのどこにある「文字」が、どう変化していたら病気になりにくいのかがわかれば、病気の予防と治療におおいに役立つはずです。

とはいえ、これを調べるのは簡単ではないでしょう。なんといってもゲノムには33億対、合わせて66億個の文字が書き込まれているのです。しらみつぶしに探していたら、数十年、数百年かかっても答えにたどり着けそうにありません。

そこで開発されたのが、2005年ごろから盛んに行われるようになったGWAS、ゲノムワイド関連解析です。GWASを使って病気のなりやすさにかかわる箇所を探すには、まず大勢の患者さんと健康な人から血液を採取して、赤血球以外の血液細胞からゲノムを取り出します。筋肉や内臓の一部を切り取って使ってもよいのですが、血液検査は皮膚を消毒して針を刺すだけですから、簡単、安全、確実です。

取り出したゲノムを大型コンピューターで解析すると、人によってゲノムがわずかに違う箇所がいくつも見つかります。そのなかで患者さんのグループに共通の変化を探しあてれば、この部分が病気のなりやすさにかかわっているんだなと見当がつきます。

研究のたびに患者さんを集めて血液検査を行うのは手間がかかるため、近年では世界各国の多数の人から集めたゲノムをおさめた巨大なデータベースが作られ、世界中の研究者が利用できるようになっています。これにより、数十万人、数百万人のゲノムを使って、すぐに研究に取りかかれるようになりました。

そして、GWASを駆使して得られたデータは「GWASカタログ」などのウェブサイトで公開されて、これまた誰でもアクセスできるようになっています。

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