2023.04.02
# 教育費 # 立ち読み # 老後

「持ち家か賃貸か」問題のひとつの答え…多くの家庭が「家を保有する」納得の理由

定年後の家庭支出のリアル

定年後は仕事をしたとしても、現役時代のような高い収入を稼ぎだすのは難しい。

一方で、家計の支出額は、その人のライフサイクルの段階に応じて変わる。現実問題として、定年後には一体どのくらいの出費があるのか。

社会人として自立してから死亡するまでの家計支出の全体像を追う。

(※本記事は、9万部突破のベストセラー『ほんとうの定年後 「小さな仕事」が日本社会を救う』を抜粋・編集したものです)

生活費は月30万円弱まで低下する

図表1-3は、総務省「家計調査」から、二人以上世帯の一月当たりの平均支出額を年齢階級別に取ったものである。

64歳までは勤労世帯の家計収支を、65歳以降は無職世帯の家計収支を取ることで、65歳で引退すると仮定した生涯の家計支出の全体像を分析していく。

家計支出額は34歳以下の月39.6万円から年齢を重ねるごとに増大し、ピークは50代前半の月57.9万円となる。人生の前半から中盤にかけての時期は、家族の食費に教育費、住宅費、税・社会保険料ととにかくお金がかかる。

その後は、50代後半まで家計支出は高い水準を維持しつつ、60代前半以降で減少していく。

最も減少幅が大きいのは50代後半から60代前半にかけて。定年を境に、月57.0万円から43.6万円と支出額が減る。

60代前半以降も家計支出は減少を続け、60代後半時点で月32.1万円、70代前半時点で29.9万円まで出費は少なくなる。それ以降も緩やかに家計支出は減少、70代後半以降は月26万円程度で安定して推移するようになる。