快適なセカンドライフを過ごす場所として、「シニア向け分譲マンション」への注目が高まっています。しかし場合によっては、高額な管理費・修繕積立金や施設利用料、さらには濃密な人間関係がトラブルを招き、老後の生活の質を下げてしまう事態にもなりかねません。
前編記事『自宅を売って2500万円で「シニア向け分譲マンション」を購入し、大後悔した60代夫婦の悲劇』に引き続き、シニア向け分譲マンションを購入して快適なセカンドライフをスタートさせた足立秀典さん(現在71歳・仮名、以下同)、紀子さん(69歳)の事例をもとに、その実態を紹介します。
また人間関係のトラブルが…
最初に事件が起きたのは、マンションに住み始めて1年後、秀典さん67歳、紀子さん65歳の時です。
実はこのマンションは70~80代の年齢層が中心で、足立さんご夫妻はかなり若い方でした。特に紀子さんは実年齢よりも若く見え、それが問題を引き起こしたのです。
紀子さんは刺繡が趣味で、昔からコースターや壁掛けなども作っていました。丁度マンション内にサークルがあったので入会して、近隣住人と刺繍を楽しんでいました。

ある時、紀子さんが作ったミモザの花を刺繡したランチョンマットをある70代の女性が気に入り、譲ってくれないかと持ち掛けてきました。しかし、紀子さんはミモザの花が大好きでしたし、マットの出来栄えも満足していたため、やんわりと断ったそうです。
紀子さんが何となくサークルの中で孤立していると感じ始めたのは、それから間もなくのことでした。