「あと5分だけだよ」発達障害の子が持つ「強いこだわり」…大人が勝手に「終わり」を決めるのが大間違いな理由
2022年12月、文部科学省は「通常学級に在籍する公立小中学生の8.8%に発達障害の可能性がある」という調査結果を発表し、大きなニュースとなりました。立ち歩きする、イライラしやすい、友達に手をあげる――ともすると「問題児」として扱われてしまう子どもたちにどのような声かけ・接し方をすればよいのでしょうか。
小嶋悠紀さんが上梓し、発売前から増刷が決まった話題の本『発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた 声かけ・接し方大全』から紹介します。小嶋さんは特別支援教育のセミナー講師として全国で活躍中の元小学校教諭。現場で実際に役立った見方、考え方やスキルだけを厳選しました(イラスト・漫画:かなしろにゃんこ。)。
記事前編【元小学校の先生が明かす、「発達障害」の子が持つ「強烈なこだわり」にどう対応すればいい?】に続き、発達障害のある子どもたちの「こだわり」との向き合い方について取り上げます。
呼吸を見てタイミングをはかる
生活のなかには、時間に一定の制約がかかっている場面が必ずあります。学校でいうと、授業の時間や休み時間がそうですね。多くの学校で、授業の時間は「45分」、休み時間は「5分」あるいは「10分」などと決まっています。
時間の制約があって、発達障害の子どもにシフティング(行動の切り替え)をうながしたいと思ったときは、きちんと介入のタイミングを見極めてから声をかけるようにしてください。
私は次のように介入のタイミングを見極めています。

まず、こだわり行動が出ている子を、落ち着いて観察しましょう。
すると、一瞬、動きが止まって、マンガのように「ふう」と息をつく瞬間が見つかります。そこが声をかけるチャンスです。
そのチャンスを逃さず、まずは大人のほうから、「満足した?」「集中していたね」などの共感の言葉をかけてあげましょう。共感を示すことでパニックを予防でき、同時に、子どもの「大人に対する信頼感」を維持できるのです。
続けてシフティング(行動の切り替え)をうながす言葉をかければ、かなりの確率で行動の切り替えが成功します。かける言葉の具体例については、次項以降で説明します。