受験塾の新年度がスタートし、宿題の量や模試のハードスケジュールに驚く家庭も多いのではないだろうか。ジャーナリストのなかのかおりさんは高瀬志帆さんの大ヒット漫画「二月の勝者」がテレビドラマ化された際、主演の柳楽優弥さんにインタビューしたのをきっかけに、FRaU webにて様々な受験体験を紹介した。現在はSNSで広がっている「#中学受験のバトン」活動に賛同し、情報を発信している方たちのインタビューでバトンをつなぐ。ADHDの特性がある長男の中学受験に伴走し、最難関の私立中高一貫校合格に導いた父親のHさんに、体験を伺った前編「発達障害の受験とは…ADHDの息子、駒場東邦合格の中学受験までの親の伴走」に続き、後編は波乱の入試結果と、これからのこと、また同じ悩みを持つ親子へのメッセージを紹介する。
午後受験の誤算も、本命に合格
Hさんの長男には、2月1日に受験する駒場東邦より難易度が高い、本命校があった。2月4日には、現在通っている本命校を受けようと決めた。
「もとは管理型の学校でしたが、面倒見の良さを残しつつ、長年かけて自由さや寛容さを育てた。塾いらずで東大の合格者も多く、塾泣かせとも言われる。先生が熱心で、赤点をとっても補習でサポートするし、高校3年生にはOBが無料で学習を支援すると聞いていました」(Hさん)
受験日程は、1日午前に駒場東邦を受けた後、1日午後に確実に合格を取るための学校、2日と3日に併願校、そして駒場東邦に合格した場合には、4日に現在通う本命校を受けるプランを立てた。
「ところが、1日午後の学校が不合格になってしまったんです。特性ならではの過集中が出たのか、午前の受験で疲れ切ってしまい、午後入試はうとうとしていたそうで……。1日午後の学校の結果は当日中に分かり、急きょ、2日午前に受ける学校を変更しました。このような事態を予測しきれなかったことで、1日の夜は地獄を味わいました。
同じくADHDの知人の子も、初日午前の本命校のみ合格し、それ以降は持ち偏差値マイナス5からマイナス15の併願4校を、すべて落とす結果になってしまいました。ADHDやASDなどの特性がある子は、過集中の後に虚脱症状が起きることも多いので、本当に難しいと痛感しました」
