2011.07.20
# 雑誌

1500人を80年間追跡調査 米国研究資料「長寿と性格」

陽気で楽観的な人は短命/離婚、妻と死別した男性も短命/
オーガズムを多く体験した女性は長生き

週刊現代 プロフィール

「従来、陽気で快活でポジティブな人は長生きをするケースが多く、また、声を出して笑うことは健康にいいと考えられてきました。だが、私たちの調査の結果、周囲に陽気と思われている人は、むしろ短命だということがわかった。たとえば、陽気さが売りのコメディアンは、一般の人より短命だというデータがある。それは彼らが辛い経験を押し隠すために、あえて明るくふるまったり、不健康な生活を送っている人が多いという背景があるからです。

 明るく陽気な性格は不健康なライフスタイルにつながりやすく、健康リスクという点からみると、高血圧や高コレステロール並みに危険だといえるのです」

 明治大学文学部心理社会学科教授の高良聖氏も、この結果に驚いたと話す。

「これまで、真面目で神経質な人は、視野が狭く、何事にも一生懸命になりすぎてしまうため、心に余裕がなくなるという見方が一般的でした。この性格はストレスを溜め込みやすいため、心筋梗塞などの病気を誘発する要因になり、長生きはできないとも言われてきた。こうした説を覆す、この本の指摘にはビックリさせられました」

「社交的な人気者」は早死にする

 フリードマン教授によれば、調査対象となった1500人の3分の2が70歳以上まで生き、そのうち24人が、90歳以上となる今も健康に日常生活を送っている。

 そして、70歳以上生きた対象者の幼少期における性格診断のデータを紐解くと、「陽気で面白い」「学校の人気者」と評価された人より、「親からの信頼が厚い」、「間違ったことをしない」、「ルールを守る」など、いわゆる「優等生」の印象をもたれた人間のほうが圧倒的に多かった。

 本の中では、その象徴として、パトリシアという92歳まで生きた女性の性格について述べている。パトリシアが12歳のころの調査によると、彼女は両親と、小学校の教師から「思慮分別があり、読書好きのどちらかといえば控えめな少女」と評価を受けていた。それは「決してリーダーシップをとるタイプではなく、周囲の人気を得たいというタイプではない」と続く。フリードマン教授が補足する。

「彼女のように子供の頃、真面目な性格だった人は大人になってからも、私たちの質問に『ローンを組むときは慎重に考える』『やると決めたことは最後までやり遂げる』と答える。高い『conscientious』さを持っていた人物は、それをキープし続ける場合が多い」

 幼少期より分別があり、目立ちたがりでもない「真面目」な人間は、成人後も堅実な生活を送っているケースが多いのだ。結果、「conscientious」度が高いほど、糖尿病や高血圧といった成人病にかかる例が少なくなっている。

 また'01年の段階で、男性の70%、女性の51%が亡くなっている。故人の中でもっとも多かったのが「conscientious」指数の低い、いわゆる「真面目さに欠ける人」だった。彼らに共通するのが、「陽気」で「楽観的」との評価を幼少期に受けているということだ。それがフリードマン教授の言う「楽観主義=高コレステロール並みに危険」の根拠なのである。

「いわゆる楽観主義の人間は、『まあ大丈夫だろう』という慎重さに欠ける判断をあらゆる場面で下している。その積み重ねが、健康を害する生活習慣につながったり、不注意の交通事故を起こしたりするケースも見られた。幼少期の性格診断において『社交的な人気者』と教師らから評価された人の中には、大人になってから、人付き合いの手助けとなるアルコールやタバコが過剰摂取気味になり、早死ににつながった事例も多い」(フリードマン教授)

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