声を上げなければ「同意」
同日の閣議では、もう1つ、私たちにとって恐ろしいことが決められました。
日本年金機構が年金受給者に、年金の振込先を「マイナンバーカード」に登録するかどうかを確認する文書を郵送で送り、登録したくない人は「不同意」というところにチェックして送り返さなければ、自動的に「同意」したということになり、「マイナンバーカード」に自分の年金受け取り口座が紐付けられてしまうのです。
現在、「マイナンバーカード」を持っている人でも、その約3割は、預貯金口座への紐付けを行なっていません。政府は、「紐付ければ、7500円分のポイントをあげます」と大々的に宣伝しましたが、自分の銀行口座を国に知られたくないという人が多いのでしょう。特に日本の高齢者は、各世代の中で一番お金持ちですから、自分の口座を他人には教えたくないと考えているようです。

ところが、高齢で老眼だったり認知症を患っていたりすると、書類を隅々まで読まないことも珍しくありません。そうなれば、勝手に口座を「マイナンバーカード」に紐付けられてしまうのです。一般的に契約とは、双方の合意のもとに成り立つものなので、拒否しないなら合意と見なすなどというのは、詐欺にも等しいでしょう。
しかも今後は、児童手当、生活保護などへと対象を広げ、NOと言わない人、気づかない人の預貯金口座は、次々と「マイナンバーカード」に紐付けていく方針なのです。
これに対しても日弁連は前出の声明内で、「公金受取口座とマイナンバー(カード)のひも付け登録には、名義人の積極的な同意を求めるべきであり、名義人が知らないうちにひも付けされてしまうような方法をとるべきではない」と抗議しています。
このように、知らぬ間に自分の情報と紐付いているかもしれないのが、「マイナンバーカード」の怖いところ。さらにそうやって紐付いた個人情報が、期せずして外部に流出してしまうことも考えられます。