「無限とはなんだろう」と聞かれると何を想像しますか。限りが見えない宇宙を想像したり、哲学的に考えたりする人もいることでしょう。実は、数学の世界では、この「無限」があらゆる場面に顔を出し、多くの数学者を魅了し続けてきました。
そんな「数学の中のふしぎな無限の世界」を紹介した『無限とはなんだろう』 (玉野研一著/講談社ブルーバックス)の中から、「1」と「+」、「-」のみで構成された数列にまつわる話を紹介します。一見簡単そうに見えて、実は奥が深いのです。
※本記事は『無限とはなんだろう』を一部再編集の上、紹介しています。
そんな「数学の中のふしぎな無限の世界」を紹介した『無限とはなんだろう』 (玉野研一著/講談社ブルーバックス)の中から、「1」と「+」、「-」のみで構成された数列にまつわる話を紹介します。一見簡単そうに見えて、実は奥が深いのです。
※本記事は『無限とはなんだろう』を一部再編集の上、紹介しています。
「1-1+1-1+1-1+…」は?
数列{aₙ}が与えられたとき,a₁+a₂+…+aₙ+…なる形のものを無限級数という。「なる形のもの」というあいまいな言い方をしたが,無限級数の和というものはどのように定義したら良いだろうか。ちょっとした頭の体操から始めよう。
1-1+1-1+1-1+…
という級数の和はどのようにとらえたら良いだろうか。そんなものすでに習って知っている。何でこんなわかりきったことをいまさら聞くのかと思われるかもしれない。しかしそんなに明らかなことではない。実際,17世紀頃までは,この和をどうとらえたら良いのかわからず困っていた。
少し考えてみると,これは,項の加え方の順番を変えることによってあらゆる整数に収束させられることがわかる。
例えば0に収束させたかったら,どうすれば良いか。これは容易だろう。その通り。数の並び方はこのままにしておいて2つずつ括弧でくくれば良い。それぞれの括弧の中の和はゼロなので,
(1-1)+(1-1)+(1-1)+…=0+0+0+…=0
となる。
1に収束させるにはどうだろう。それには,最初を除いてあと2つずつ括弧でくくっていけば良い。つまり,
1+(-1+1)+(-1+1)+(-1+1)+…=1+0+0+0+…=1
で大丈夫だ。それでは,3を作るにはどうしたら良いだろうか。