2023.05.12
# マラソン # にしおかすみこ # エッセイ

なぜ、私は走るのか?にしおかすみこのマラソンの真髄

マラソンのすすめ
「あたしだよ~っにしおかぁ~すみこだよっ」でお馴染み、にしおかすみこさん。実はフルマラソンですごい記録をお持ちのにしおかさんに、「群像」にエッセイをご寄稿いただきました。

ベストタイムは3時間5分3秒

先を考えて余力を残すな。らしくない。今を走れ。2歩先を見て、3歩目で転んだら泣けばいい。あとで大笑いできるよ。
追い風に背中を押され、向かい風には体ごともたれ預けよう。
風に乗ろう。前を見よう。中古でボロボロだけどゴールで笑うんだ。
追い風が
向かい風が力となって

by 市民ランナーにしおかすみこ(心のポエム)

 こんな臭いことを本気で思い、自分に言い聞かせ、酔いしれ走ってきた。
 私の趣味はフルマラソン。ベストタイムは2019年44歳の時に出した3時間5分3秒。
 たまにウルトラマラソンにもチャレンジしたりで、2017年102キロの大会では10時間8分5秒。

photo by iStock

 せっかく頑張ったので、秒数まできっちり言って自慢する。周囲から「この年齢で!? すごい!」と褒められたり、引かれたりする。後者のほうは、どんだけ練習するの、ストイックなのか暇なのか、流石、独身、みたいなことらしい。軽く傷つくが、あながち間違ってもいない。

 真面目に練習する年、サボる年とあるが10年以上続いている。そして度々、聞かれる。「走るって何が楽しいんですか?」と。

 ずっと思ってきたことがある。私は走ることが好きじゃない、むしろ嫌い。
 だってしんどい、つまらない。でも走る。誰にやらされているわけでもない。
 では「なぜ?」。健康の為? ダイエット? 美容? ストレス発散? どれも間違ってはいない。でもピンときていない。あくまで個人の感想だが、素人が生半可の知識と体で走るのだ。故障する。太りもしないが痩せもしない。外での有酸素運動だ。小まめに日焼け止めを塗るので、年中薄っすらくすんで酸化した乾物みたいになる。

 じゃあ「やめたらいいのに」。

 実際ここ3年程、コロナ禍と実家に戻ったことを言い訳にサボっている。
 ちなみにウチは母が認知症、姉がダウン症、父が酔っ払い、私は元SMの女王様キャラの一発屋の女芸人。ポンコツ一家だ。日々バタバタはしている。でも走るくらい、いつだってどこだってできる。本当は怠けてしまった体を起こすのがだるいだけだ。やめたと言わないのは、楽しかったマラソン大会を思い出すからだ。しかも辛かったものほど懐かしい。なるべく短く厳選するので、私の回想に少しお付き合いいただきたい。

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