2023.05.23

衝撃…!北朝鮮でいま、国民が続々と死んでいる…「ミサイル連射」のウラで韓国メディアが報じた「食糧危機」の真相

金正恩党総書記は2021年12月の朝鮮労働党中央委第8期第4回全員会議(総会)で「わが人民の食生活文化を白米のご飯と小麦粉食品を主にして変える方向へ、国の農業生産を志向させる」と述べた。

いまだに、主食でトウモロコシが大きな比重を占める北朝鮮住民の食生活を「白米とパンと麺」に転換するという決意表明であった。

それから約1年半の歳月が流れたが、北朝鮮住民が白米やパン、麺を腹一杯食べているという話を聞かない。それどころか、一部では餓死者が出ているのではという話まで出るほど食糧事情がひっ迫しているようだ。北朝鮮の核やミサイルの脅威で隠れているが、北朝鮮の農業や食糧政策で何が起きているのか。

「虚風」がやまない

金正恩党総書記は、2021年3月に開いた『第1回市・郡党責任書記講習会」2日目の『綱領的な結論』で「市・郡党責任書記の前に提起される優先的な経済課題は、農業生産量を画期的に増やすことである」としながら「特に、農業部門に根深い『虚風』(法螺、大言壮語の意味で虚偽報告)をなくすための闘いを度合い強く展開しなければならない」と述べた。

金正恩党総書記が指摘するように、北朝鮮農業の慢性的疾病が『虚風(虚偽報告)』である。

農場幹部は上部からの批判を恐れ、不作でもそれを隠した虚偽報告をする。すると国は前年の収穫高に基づいて翌年の収穫高のノルマを決定する。これを続けると生産現場の実情は無視され、課せられるノルマは次第に大きなものになってくる。実際の収穫量とはかけ離れた数字でノルマが課せられ、農民の取り分はどんどん少なくなっていく。

Photo by iStock北朝鮮の黄海北道アンファ郡で、田んぼに肥料を撒いている北朝鮮の協同農場労働者たち。世界食糧計画提供の資料写真。(Photo by gettyimages)
 

金正恩政権の初期に『圃田担当責任制』が導入され、ノルマを達成すればその残りは農民が自己処分してよいようになり、生産量の約3割を農民が自己処分できる状況が生まれた。これが農民の労働意欲を高め、一時期、生産が伸びた。

しかし、毎年『虚風』を重ねていくと、統計上は、北朝鮮農業は発展を遂げていくが、実態とどんどん乖離してくる。しかも、ノルマがどんどん上がってくるので、農民はノルマが達成できなくなる。『圃田担当責任制』をつくっても、農民の労働意欲を刺激することはできなくなっているのが北朝鮮の農村の実情だ。

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