アフリカ各地で見られる、Migration(大移動)。水や餌の条件がいい場所をめざして、野生動物が一定のサイクルで大移動をする自然現象だ。
最も有名なのは、タンザニアのセレンゲティ国立公園と国境を接するケニアのマサイマラ国立公園で繰り広げられるヌーの大移動で、その数はおよそ130万頭。移動距離は1年で3000kmにもなり、宇宙からも見えるという。
*BBC News「Maasai Mara safari overcrowding stresses Kenyan wildlife」によれば近年そうした観察をするためのサファリカーが集まり過ぎて、ヌーやその他の野生動物が生息地を追われたり、命の危険にさらされることなどが問題になっています。
世界最大の哺乳類の大移動
旅とホテルをテーマにノンフィクション、小説、紀行、エッセイ、評論など幅広い分野で執筆する作家山口由美さんは、かつてザンビアで「エコツーリズム」の原点を体験した。エコツーリズムという言葉もなかった頃のことである。
それから33年がたち、世の中の価値観や旅行に求めるものも大きく変わった今、自分の目で再確認したいと、昨年秋に再びザンビアを訪れた。
現地では、車は使わずにサバンナを徒歩で見て回る「ウォーキングサファリ」や、野生のゾウが自らやってくるロッジで、スペクタルな光景を目の当たりにしてきた。

だが、ザンビアには、さらにすごい「世界最大の哺乳類の大移動」があるという。
旅の準備をするなかで知ったという「大移動」。
取材した山口由美さんにご執筆いただいた。