旅とホテルをテーマにノンフィクション、小説、紀行、エッセイ、評論など幅広い分野で執筆する作家山口由美さんは、過去に体験した「エコツーリズム」の原点を再び自分の目で確かめるため、33年ぶりにアフリカ・ザンビアを訪れた。
アフリカといえば、
山口由美さんにご執筆でお伝えする。
オレンジ色の夕日の中に見たもの
ハイドに到着した頃には、空いっぱいにコウモリが飛んでいた。
今日のハイドは8m。もう慣れたものだ。大急ぎでハシゴを上がる。
オレンジ色の夕陽が眩しい。凄まじい数のコウモリが大空を滑空して森に還っていく。圧巻の光景に息をのんだのはもちろんだが、この大スペクタクルを私とロブとミャンベとそのアシスタントの4人だけで独占している事実にも感動した。
途中の泥道で長靴を履いた足が泥にはまり、靴の中までドロドロだったが、そんなことは何の問題でもなかった。言葉を失うとはこういうことなのか。私はいつまでも、ただ呆然と空を見つめていた。



ザンビアの北部には、まだまだ美しいところがあるという。
ロブに勧められて足を延ばしたのが、日本ではほとんど知られていないムティノンド(Mutinondo)という桃源郷だった。