2023.05.15
# 年金

繰り下げた年金を「さかのぼり受給」した72歳男性に、税務署から届いた「怖すぎるお知らせ」

拝野 洋子 プロフィール

(2)70歳の時点までさかのぼって受給する

もう一つの選択肢として、70歳から繰り下げて受給したことにして、2年分をさかのぼって受給する方法です。この場合は先述の通り1年に約290万円、72歳までの2年分で合計580万円を一括で受け取ります。それ以降に受け取る年金も290万円になるので、治療が上手くいって長生きできた場合はこちらの方がおトクになります。

なお第三の選択肢として、「72歳から5年間さかのぼって、67歳時点まで繰り下げた年金を一括で受給する」という道も考えられます。その場合、一括で受け取れる金額は約1193万円(=約239万円×5年)になります。ただ1949(昭和24)年生まれの近藤さんの場合、制度上この方法は選択できませんでした(詳細は後述します)。

「悩んだ末、5年さかのぼって約1021万円を一括受給することに決めました。体がどうなるかわからない状態なので、少しでも手元にお金が欲しいと思ったからです」(近藤さん、以下「」内の発言は同じ)

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まさかの「支払いラッシュ」に

5年分の年金をさかのぼって受給することに決めた近藤さん。過去5年分の収入が増えたことになり、所得税なども再度計算されます。つまり所得を「修正申告」するだけでなく、課税額にも変更が生じるのです。

ここで近藤さんの収支を確認してみましょう。なおここでは計算を簡単にするために、物価スライド、賃金スライド、経済マクロスライドなどは考慮せず、およその年金額とします。

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