2023.05.15
# 年金

繰り下げた年金を「さかのぼり受給」した72歳男性に、税務署から届いた「怖すぎるお知らせ」

拝野 洋子 プロフィール

今後は「みなし繰り下げ制度」がスタート

2023(令和5)年4月から、「年金のみなし繰り下げ制度」  がスタートしました。1952(昭和27)年4月2日以降に生まれた人が対象となる制度です。

近藤さんが年金をさかのぼって受給する際の選択肢を紹介した時に、三つ目の案として「72歳から5年間さかのぼって、67歳時点まで繰り下げた年金を一括で受給する」という方法を挙げました。「みなし繰り下げ制度」とは、これを可能にするものです(ただし近藤さんは生年月日の関係で、制度ができてからも対象外になります)。

75歳まで繰り下げ受給が可能になったことで、受給開始を待つ高齢者が増えてきています。その中には近藤さんと同様に「途中の72歳で繰り下げをやめて、これまでの年金を一括で受け取りたい」と請求してくる人もいるのです。

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年金は基本的に、5年分までしかさかのぼって受け取れません。したがって従来の制度では、「65歳時点での年金」を5年分受け取り、2年分はまったくの切り捨てになってしまうのです。

それでは、近藤さんのように70歳を過ぎてから一括請求した人にとって不利であるため、新しい制度ではさかのぼって「繰り下げした」と見なして受給できるようになりました。つまり先ほどの例の場合、67歳で繰り下げした額を5年分まとめて受け取れるのです。

ただし「繰り下げした年金」を5年分一括で受け取るようになるため、追徴される所得税、住民税、延滞金、国民健康保険料、介護保険料もより高額になります。もし一括請求を行うのであれば、いつまでにどれほど支払うことになるのかシミュレーションしてから、受け取る必要があります。場合によっては老後の生活が破綻しかねないので、注意が必要でしょう。

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