中国の警察が東京・神保町に拠点を構えた…『機龍警察』の月村了衛の最新作が完全な「フィクション」とは言い切れない理由

中国・香港の警察が、ニッポンで捜査活動をする!?現実の一歩先を行く衝撃の新感覚アクション小説香港警察東京分室』

ハードルの高い設定を練り上げた

―国際犯罪に対応するために日本と中国が協力することになり、両国の警察が結集した「特殊共助係」という新しいチームができる……という特殊な設定ですね。

特殊共助係は警視庁内では「観光案内でもしている部署だろ」と揶揄され、皮肉をこめて「香港警察東京分室」と呼ばれるという設定です。拠点があるのは神保町のビルの4階で、日本側5名、香港側5名のメンバーが机を並べています。

実際に警視庁は都内各所に拠点を設けています。後で知ったのですが、神保町にある小学館の近くに、本当にそれらしい物件があるそうで、社内で「アレじゃないか」と言われていたと聞き、なんというシンクロニシティかと。

一方、他国の警察が日本に拠点を設けるというのはなかなかハードルが高い設定で、どうすれば合法的にあり得るのか、設定を練っていきました。

Photo by iStock
 

―中国が世界中で密かに警察拠点を設置していることが判明していますが、そうした現実のニュースを連想しますね。

まさに本作の単行本用修正作業をしている時に中国の警察拠点設置についての報道があり、とても驚きました。フィクションを書いていたつもりが、ここでもまた現実とシンクロしてしまった。

報道を受けて、急遽「警察拠点の設置で諸外国から反発された中国が合法的に日本政府にアプローチし、日本側も中国の国内活動を監視・牽制する目的で協力した」という設定で加筆をしています。

関連記事