娘がハーバード大学に入学したのを機に起業し、現在、幼児から高校生までを対象としたオンライン英語教室やハーバード生を講師陣にしたサマースクールを主宰する廣津留真理さん。一人娘のすみれさんは、大分という地方都市に生まれ育ち、小学校から高校まで公立校に通い、海外留学したこともなければ塾に通ったこともないまま、ハーバード大学に現役合格&首席卒業。現在は、バイオリニスト、作曲家、著述家、大学講師、TV番組のコメンテーターなど多方面で才能を発揮し、世界各地を飛び回りながら活躍中だ。

家庭学習だけで娘に世界トップの大学に入る学力を身につけさせ、その後も現役ハーバード生たちと仕事をする廣津留さんに、成功体験を積み重ねて、自己肯定感を伸ばせる子どもを育てるための“ハーバード流”の方法を教えてもらった。6月発売の新刊(予約受付中)『ハーバード生たちに学んだ 「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』(講談社)からの一部抜粋でお届けする。

廣津留真理(ひろつる・まり)
ディリーゴ英語教室代表/一般社団法人Summer in JAPAN(SIJ)代表理事/株式会社ディリーゴ代表取締役。早稲田大学卒業。一人娘のすみれさんは、大分の公立高校から塾なし留学経験なしでハーバード大学に現役合格&首席卒業。娘への家庭内での学習指導経験を踏まえて編み出した独自の「ひろつるメソッド」を確立。英語教室やセミナーにて、これまで1万人以上を指導。現役ハーバード生が講師陣のサマースクールSummer in JAPANは、2014年、経済産業省の「キャリア教育アワード奨励賞」受賞。「羽鳥慎一モーニングショー」「徹子の部屋」(テレビ朝日系)、「セブンルール」(カンテレ・フジテレビ系)などメディア出演多数。著書に、英語経験ゼロの子も1冊で長文読解までできるようになるドリル『英語ぐんぐんニャードリル ひろつるメソッド 最短最速! ゼロから一気に中2終了』 、娘と実践した家庭学習メソッドを公開した『成功する家庭教育 最強の教科書』(講談社)ほか。6月23日に新刊『ハーバード生たちに学んだ 「好き」と「得意」を伸ばす子育てのルール15』(講談社)が発売になる。https://dirigo-edu.com
 

発言しなければ存在しないのと同じ

娘のすみれは「ハーバードの授業では出欠を取らないので、一度も発言しなかったら欠席とほぼ同じ扱いだった」と話しています。成績についても、ペーパーテストだけでなく、授業での発言が、かなり高い割合で評価対象になるのだと言います。

しかも、発言したとしても、他の学生と同じ意見では評価されないのです。「私もそう思う」では、相手に何らかの価値を提供できません。何もアピールできない人の存在価値が認められないのは当たり前。ハーバード大のように多様なバックグラウンドを持つ学生たちが集まる場所で、自己表現できない人、発言できない人は、「そこにいない人」も同然なのです。

たとえハーバード大に進学しないとしても、これからのグローバル時代、広い世界を舞台に生きていく子どもたちは、「自己表現できた人」から多くのことを手にしていくことになります。そこで、私が主宰するディリーゴ英語教室のオンラインレッスンは、「発言したい人~?」と聞いて、子どもたちに手を挙げて答えてもらうことで進行します。先生から子どもを指名して答えてもらうことは一切なし。子どもたちが、我先にと手を挙げて発言するにぎやかなレッスンが展開します。

コロナ禍にオンラインで開催された廣津留さん主宰のサマースクールSIJの様子。笑顔で活発な発言が交わされた/写真提供:廣津留真理

といっても、知らない子同士が集うオンラインのクラスで、最初から積極的に手を挙げて発言できる子どもはなかなかいません。日本の子どもたちには、周りを見て発言する習慣、そして「間違えてはいけない」という恐怖心が染みついているためです。

ただ、「間違えてもいいんだよ」と口で言うことはしません。その代わりにこんなことをします。