突如発表されたメガバンクによる振込手数料の大幅値上げ。「もう窓口には来ないでくれ」という銀行側の態度の裏に透けて見えるのは、「高齢者イジメ」とも言える仕打ちだ。デジタル化やコストカットの波に翻弄される高齢者の実態を、前編記事「メガバンクの振込手数料「大幅値上げ」の衝撃…もはや大手銀行は「金持ち」しか相手にしない」に引き続き紹介する。
ネットが使えないなら切り捨てる
これまで、何十年も利用してきた「客」としては、複雑な思いだ。預金をしてもろくな金利もつけないくせに、振り込みや引き出しでさんざん手数料をふんだくった挙げ句、いまさらネットが使えない客はいらないと切り捨てる。

目先のカネ儲けばかり考えたやり口には心底腹が立つが、このようなデジタル弱者の切り捨ては、いまや銀行業界に限った話ではない。
作家の下重暁子氏も昨今のこうした「高齢者イジメ」に憤っている。
「最近は色々な行政手続きがスマホでできるようになって、それ自体は便利で結構なことです。しかし、なんでもスマホでやるのが当たり前だと強制するような傾向には首を傾げざるをえませんね。
典型的だったのが、コロナワクチンの接種予約でした。始まった当初はなかなか電話もつながらず、ネットで予約を申し込むしかありませんでした。
しかし、本来、重症化リスクが高く、早くワクチンを接種すべきはずの高齢者ほど、ネットでの予約は苦手です。子や若い知り合いに頼んで予約してもらったり、あきらめて接種が遅くなってしまったりした人も多かったと思います」