2023.05.25
# 鉱物
じつは「石」はよく喋る…3000種あまりある中で「地球の成り立ち」を聞くのに重要な石は「たったの三つ」
私たちが暮らす地球は、豊かな恵みを与えてくれますが、地震、火山噴火などの大きな災害をもたらすこともあります。こうした大地の性質を「地質」といいます。
毎年、5月10日は「地質の日」を記念して、地質のもっとも基本となる「石」についての、あんな疑問やこんな不思議を紹介する記事。後編では、石の驚きの性質「雄弁家」としての石、「動く石」についてのお話をお届けします。解説は、『三つの石で地球がわかる』などの著書がある、藤岡 換太郎さんの解説でお送りします。
*本稿は、ブルーバックス『三つの石で地球がわかる』の内容を再構成してお送りします。
石は雄弁で、よく動く
石にまつわることわざや慣用句は、非常にたくさんあります。みなさんも、いくつも挙げることができるのではないかと思います。みなさんも、いくつも挙げることができるのではないかと思います。
たとえば「石のように黙る」という表現があります。石は「沈黙」や「口が堅い」ことをイメージさせることから使われる言い回しです。しかし、本当に石は黙っているかといえば、そうでもないようです。それどころか、石は意外に雄弁で、おしゃべりなのです。
ひとつの石は、実に多くのことを語ってくれます。そこに含まれている鉱物を調べることで、その石がいつ、どのような場所で、どのようなでき方をして、その後、どのような歴史を歩んできたのかまでがわかってしまいます。

さらに、それらの石がもっているさまざまな情報と、その石の年代とを照合していくことで、地球の歴史がわかります。逆に、地球の履歴は、石からしかわかりません。石は雄弁家として名高いローマ時代のマルクス・トゥッリウス・キケロのように、非常に饒舌な語り部なのです。