生命は存在しないとされていた海底下の世界に、近年、地上をも超える生命圏が存在することがわかってきました。食べるものもほとんどない、それどころか、呼吸すらもままならない高圧・高温の極限環境に生きる生物とはいったいどのようなものなのでしょうか?
『DEEP LIFE 海底下生命圏』では、この海底地下生命の謎を解明するために行われた「海洋科学掘削」の歴史から、海底下生命圏の謎に迫ります。
いままでの海洋科学掘削調査から、約1億年前の堆積層にも生命が存在することがわかっています。数千万歳を超えることが示唆されている微生物! ここでは、その長生きのひけつ!? を紹介します。
*この記事は、『DEEP LIFE 海底下生命圏』をもとに、再構成してお届けします。本書の詳しい内容は、こちらでご覧になれます。
海底地下深部に生きる微生物たちとは
海底には、海洋に暮らす生物の死骸や排泄物などから成るマリンスノーが降り積もっていきます。それが、微生物たちにとってのごちそうです。
たとえば、深海底にマリンスノーや泥が堆積していく速度が1000年で5センチメートル程度だとすると、海底下1メートルのところにある堆積物は2万年前に降り積もったものです。

さらに、海底にはマリンスノーや泥が少しずつ積み重なっていきます。数十万年、数百万年、数千万年もの時がたつと、海底下数十メートルから数百メートル以上の深さまで、どんどん埋もれて深くなっていきます。圧力はどんどんと高くなり、微生物たちは堆積物の狭い隙間に閉じ込められ、もはや動くこともできません。
参考:地球滅亡、そのとき最後に残る生命は? 海底地下に広がる「謎の生命圏」
数千万年を生きる、超・長生きのひけつは
海底下の厳しい環境で超スローライフを送っている微生物たちは、とても長生きです。実際に、約1億年前に堆積した海底下の堆積物やその下の岩石に、「生きている微生物」が確認されています。しかし、彼らがどのようなメカニズムで1億年も前に堆積した地層で生きていけるのでしょうか。