2023.05.26
# ライフ

男性不妊症の夫と結婚した先天性心疾患を持つ30代女性が語る「子どもを持てない人生」の苦悩

経済的不安定の増大や子育て支援が手薄なことなど、今の日本には妊娠・出産を躊躇う理由がたくさんあるなかで、子供を持たない選択をした佐藤彩さん(仮名・32)。

前編『「妊娠は禁忌」と突き付けられて 障害を理由に“子どもを持たない人生”を歩むことになった30代女性の苦悩』では少子化対策や子育て支援という文字を見るたびに、子どもを持たない人生を送らざるを得ない自分に引け目を感じる人もいるが、彩さんもまさにそんな女性だ。

単心室・単心房症という先天性心疾患を持って生まれた彩さんは主治医から、「妊娠・出産は避けるように」と忠告されたことを機に、子どもがいない人生の送り方を考え始めた。

 

彩さんは、子どもがいる普通の家庭を築けないという苦しみから結婚前提の恋愛を避けるように。友人の紹介で出会い、好意を寄せてくれた5歳上の和馬さんにも妊娠・出産が難しいことをカミングアウトしたが、彼の返答は予想外なものだった。

PHOTO:iStock

実は和馬さん、精子の数が少ない「乏精子症」であり、ホルモン治療をしたものの、効果が現れなかったそう。そのため、彩さんと同じく、自分が原因でパートナーに子どもを持たない人生を強いてしまうことが嫌で、結婚を見据えた交際を避けてきた。

共に「子ども」という存在に悩まされてきた2人は、子どもが持てる可能性がある周囲の人には話せなかった、これまでの苦悩を語り合った。それによって、距離が縮まった彩さんたちは、その後、交際。2年後に籍を入れ、「子どもがいない人生を全力で楽しむ」と約束し合い、結婚生活をスタートさせた。

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