偶数・奇数に倍数・約数……普段はあまり意識することがないだろうが、こうした言葉にはきっちりとした定義がある。そして、その定義を正確に説明するのは意外に難しい。連載第4回では身近にありながら深―い「倍数・約数・素数」の世界を掘り下げる。これを理解すれば、尊敬されること確実です。
偶数と奇数を再定義すると
一般に、整数△と0以外の整数□に対し、
△=□×○
となる整数○があるとき、△は□の倍数、□は△の約数という。とくに、2の倍数を偶数という。ちなみに、
0=2×0
なので、0も偶数である。そして、偶数でない整数を奇数という。
最初に、倍数に関する符号の例と楽しい小話を述べよう。
バーコードの数字に秘められた法則
例(13桁のバーコード) 太い線や細い線が縦に並んでいる13桁のバーコードを説明すると、
13桁の数の列
a1a2a3a4a5a6a7a8a9a10a11a12a13
に対して、
3×(a2+a4+a6+a8+a10+a12) + (a1+a3+a5+a7+a9+a11+a13) ・・・(*)
が10の倍数になるようにa13は定められている(各aiは0から9までの整数)。実際、
4988009440392
という例で確かめると、
3 ×(9+8+0+4+0+9) + (4+8+0+9+4+3+2) = 3×30 + 30 = 120
となっている。

もし13桁のバーコードにあるa1,a2,……,a13のうちの一つのai ( 1≦i≦13)だけを読み誤って、bと読んだとしよう(ai≠b)。
このとき、aiをbに取り替えて行った(*)の計算結果は10の倍数にならないように設定されている。だからこそ13桁のバーコードは、たとえ1文字間違って読み込んでしまっても、それを認識できるようになっているのである。