偶数・奇数に倍数・約数、素数・素因数……普段はあまり意識することがないだろうが、こうした言葉にはきっちりとした定義がある。そして、その定義を正確に説明するのは意外に難しい。連載第4回では身近にありながら深―い「倍数・約数・素数」の世界を掘り下げる。これを理解すれば、尊敬されること確実です。
前編記事【「0」は偶数か奇数か、「1」は素数か否か 中学生なら即答できる正解は?】では奇数、偶数の定義や、日常生活に秘められた数学の面白さ、小ネタなどを紹介している。
素数は無限個存在する
紀元前300年ごろのギリシャの数学者ユークリッドは、素数は無限個存在することを証明した。その証明法は、「素数は有限個しかない」として矛盾を導く背理法によるものであった。
その後、素数は無限個あることの証明はいくつか発見されたが、どれも簡単なものではなかった。

ところが2006年に、サイダックという数学者が非常に分かりやすい証明を発表した。
以下、この証明法を紹介しよう。
言葉の準備として、自然数aとbの公約数とは、aとb両方の約数のことである。aとbの公約数となる自然数が1しかないとき、aとbは互いに素という。たとえば、12と18の公約数となる自然数は1と2と3と6で、12と35は互いに素である。