伝説のマトリが注目する、じわじわと世界に侵食するナイジェリアの麻薬組織

ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図(6)
禁断の世界麻薬マーケットの暗部と、世界の反社がどうつながっているのか? 伝説のマトリだから書ける「人類、欲望の裏面史」、『ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図』より、公開コードギリギリのエピソードをピックアップ!
ナルコスとは――「感覚を失わせる」という意味のギリシャ語のナルコン「narkoun」に由来する英語「narcotics」から派生したスラングで、海外ではドラッグとともに麻薬を意味するものとして認知されている。
前編記事:<韓国社会で広がる「キムチ・プレミアム」——伝説のマトリが語る、韓国セレブにまで広がる麻薬汚染の実態​

世界に展開するナイジェリアのナルコス

今回はナルコス新興国について触れていきたい。

現在、密輸組織として台頭しているのがナイジェリア組織を中心とする西アフリカ勢である。彼らは、薬物のみならずマネーロンダリング、人身売買、金融詐欺、武器・ダイヤモンド密輸などあらゆる国際犯罪にかかわっており世界の脅威となっているが、ここではナルコスに特化して話を進めたい。

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私が知る限り、彼らの活動が活発化したのは1990年代に入ってからだった。かくいう私もそんな組織の動きを目の当たりにした一人だ。

1992年ごろだったと思う。当時、日本でもナイジェリア人を中心とする西アフリカ人薬物密輸組織「West African DTOs(West African Drug Trafficking Organizations、DTOは国際捜査で使われる薬物密輸組織の略称)」が水面下での動きを見せていた。といっても当時の彼らはいわゆる麻薬カルテルのような凶暴性はなく、密輸の量もヤクザ組織の10分の1程度と小規模でのビジネス展開に過ぎなかった。密輸に関しても決して大掛かりではなく、女性や知り合いを騙して、10キロ程度の大麻を小口にして運ぶというのが彼らの常套手段であった。

  • 『成熟とともに限りある時を生きる』ドミニック・ローホー
  • 『世界で最初に飢えるのは日本』鈴木宣弘
  • 『志望校選びの参考書』矢野耕平
  • 『魚は数をかぞえられるか』バターワース
  • 『神々の復讐』中山茂大