麻薬の新興勢力・ナイジェリアの影に潜む、大規模な組織——伝説のマトリ、因縁の相手の末路とは
ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図(7)
禁断の世界麻薬マーケットの暗部と、世界の反社がどうつながっているのか? 伝説のマトリだから書ける「人類、欲望の裏面史」、『ナルコスの戦後史 ドラッグが繋ぐ金と暴力の世界地図』より、公開コードギリギリのエピソードをピックアップ!
※ナルコスとは――「感覚を失わせる」という意味のギリシャ語のナルコン「narkoun」に由来する英語「narcotics」から派生したスラングで、海外ではドラッグとともに麻薬を意味するものとして認知されている。
前編記事:<伝説のマトリが注目する、じわじわと世界に侵食するナイジェリアの麻薬組織>
※ナルコスとは――「感覚を失わせる」という意味のギリシャ語のナルコン「narkoun」に由来する英語「narcotics」から派生したスラングで、海外ではドラッグとともに麻薬を意味するものとして認知されている。
前編記事:<伝説のマトリが注目する、じわじわと世界に侵食するナイジェリアの麻薬組織>
ナイジェリアの組織は内戦によって生まれた
ナイジェリアの犯罪組織は他国よりもさらに国内情勢に強く由来し、そのほとんどが内戦によって生まれたものだ。
1967年には南東部に住むイボ族が「ビアフラ共和国」を名乗り、分離・独立を推し進め、当時の政権と激しく軍事衝突をしている。3年にも及んだ内戦ではビアフラ共和国が敗れ、ナイジェリアに再統合される結果となった。

しかし、その争いは凄惨を極め、犠牲者は300万にものぼると推計されている。そのほとんどが罪もない子供や女性である。幻の国となったビアフラ共和国だが、 ナイジェリア政府と一部のイボ族の間では亀裂が走り、若い世代を中心にビアフラ再来を唱えるなど、終戦から50年以上が経った今でもその余波は続いている。ナイジェリア組織はこのイボ族が中心となり、それに南西部のヨルバ族や少数民族が加入し、世界展開していると考えられている。
余談になるが、ナイジェリア人は伝統的に商才があるとされ、公用語は英語で海外取引で言葉に苦労することがない。この点も彼らの世界展開を容易にしていると推察することができる。同時に彼らは相手の警戒心を和らげるため、アメリカ人やカナダ人に成り済ますことが常である。非英語圏のアジア人は、これに簡単に騙される。