「自分には関係ない」そう感じている人にこそ
iPhoneの「スクリーンタイム」という機能をご存知だろうか。これは、その日自分がどのくらいスマホを利用しているのかがわかるツールで、私はだいたい一日6時間ほど、つまり一日の4分の1もの時間を「スマホを見る」ということに使っているらしいと最近自覚した。
そういえば10年前と比べて、ぼーっと考える時間が減った気がする。昔は答えがわからない問いに出会えばよく何時間も考えていたような気がするけれど、今はスマホに教えてもらう。
「次にあの人に会ったら、この話をしよう」という楽しみも、すぐにメッセージを送れば既読がつく。もうすぐ90になる祖父母でさえ、上手にタブレットを使ってメッセージにかわいいスタンプまで添えて送ってくるようになった。

アナログな世界が生み出す余白を五感で受け取って揺さぶられる体験は、未だZ世代にとっても「エモい体験」として価値があるものの、そのエモさはデジタルを通じて外に発信するまでがセット。私が編集長として運営に携わっているSNSメディア「パレットーク」も、ここまでスマホやSNSが浸透しなければ続けてはこられなかった。
「パレットーク」は10〜30代の方を中心に読まれているメディアで、「性に関するモヤモヤ」についての実体験を4〜7枚程度のマンガでTwitterやInstagramに投稿している。
「ジェンダーのことって難しそう」「自分には関係ないことだな」そう感じている人にこそ情報を届けて一人ひとりの日々のアクションが少しずつ変わり、ひいては社会が変わっていくようにという思いを込めて、気づけばもう5年間発信を続けてきた。
最近の投稿の中でも、とある女性の実体験を元にしたマンガは、「ジェンダーによって、家族や周りの人から期待される役割が違う」というエピソードに共感が集まった。
メディア発足当時、25歳の私はいつも不安を感じていたような気がする。発信すること自体初めてなのに、予算もあまり割けない。メンバーは全員後輩。会社として発信するから気をつけることがいっぱいある。
おまけにほとんど見てくれる人がいない。そんな無風状態だった私たちのメディアを動かしたのは「共感」という波だった。ここでは、私が5年間の運営のなかでその波をどのように捉えてきたのかをお伝えできればと思う。