2023.05.22
吉宗に献上されたトウカエデが今も生い茂る、都心の森「浜離宮庭園」の「6000種の樹木」
東京には多様な森がある。
新橋駅から徒歩10分の浜離宮の森には、徳川家のゆかりの地があちこちに残り、6000種もの樹木が生い茂る。
江戸の残像を眺めながら、浜離宮の森を歩いてみよう。
【*本記事は、福嶋司『カラー版 東京の森を歩く』を抜粋・編集したものです。】
地形の変化と、6000種の樹木
この園は中心部に東京湾から海水を引き入れて作庭した回遊式庭園が広がる。都内に現存する唯一の海水を引き入れた庭園である。
「潮入の池」と呼ばれるこの池は、潮の干満によって趣を変える。
そのなかに「中島の御茶屋」があり、北のお伝い橋、西の中島橋、南の富士見山に向かう中の橋の三つの橋でつながっている。

この園は海風を防ぐように周囲が土塁によって囲まれている。特に北と南に高い土塁が作られ、海側の地域には各所に築山を配置、それが園の内部への海風を阻むとともに、園の地形に変化をもたらしている。
その上にはタブノキを中心とする大木が多く生育している。園内にはタブノキ、クロマツ、エノキ、サクラ類、カエデ類など約6000本の樹木が生育しているという。