「在宅介護」でカード紛失リスクが高まる?
施設に入居することができずに、自宅で介護するという人もいます。こうした人の場合には、さらに大変な状況に見舞われそうです。
在宅介護になると、カードや「暗証番号」の管理体制が施設よりもゆるくなりがちです。「暗証番号」を忘れないように、カードと一緒にわかりやすい場所に置いてあるご家庭が多いと思われます。ところが在宅介護の場合、家族や介護者だけでなく、リフォーム業者や宅配業者など不特定多数の人が家に出入りするため、個人情報流出のリスクも高まります。

家に出入りする悪意のある人が、カードや「暗証番号」を盗んで悪用する危険もありますし、本人になりすまして、個人情報を見ることができるかもしれません。
こうした犯罪に遭遇しなくても、認知症が進んでいると、カードをどこに置いたかを忘れてしまう可能性も高いため、紛失リスクが施設よりも高くなると指摘する専門家もいます。
家族に要介護者を抱える方は、マイナンバーカードの申請についてこう話してくれました。
「寝たきりの母を座らせての写真を撮って役所に行ったら、『背景が無地ではないからダメ』と言われ、無地の背景でもう一度撮っていくと、今度は『正面を向いていないからダメ』と言われ、他の写真も『目を閉じている』『髪が顔にかかっている』などで却下され、何度も撮り直してやっとカードができました。
こうして苦労して手に入れたカードも、10年後には更新でまた写真を撮らなくてはなりません。今でさえこんなに大変なのに、10年後に母がどんな状況になっているのかと思うとゾッとします」
それでも、同居していれば、負担をかけながらもなんとか家族を頼ることもできるかもしれませんが、問題は、一人暮らしの高齢者が増え続けていることです。