「マイナ保険証」問題は山積み
しかし、これについても問題は山積しています。東京都の某市の市長に尋ねると、怒りを込めてこう言っていました。
「とんでもないことですよ。国がそのために人を派遣してくれたり、しっかり予算をつけてくれるなら受けてもいいですが、今までのように自治体に丸投げで、あとは知りませんというような状況だと、自治体の本来の業務に支障が出るのでとても受けられません。しかも、大切な『マイナンバーカード』を預かって、それを紛失するようなことがあったら自治体の責任になりますから、目も当てられない」
要は、国も介護支援職員も自治体も、役所に出向けない自宅介護の高齢者のケアには及び腰ということです。

そうなると、なんとかカードはつくっても、紛失したり5年目の更新ができないまま再発行の手続きもできず、無保険者になってしまうリスクが高くなるのは火を見るより明らかです。
厚生労働省は、2023年2月27日、介護保険サービスを利用する際に必要な介護保険証も、健康保険証と同様にマイナンバーカードと一体化させる方針を明らかにし、早ければ2025年度にも一部の自治体で先行導入することを目指し、26年度には全国規模での運用を目指すとしています。
介護保険証については、健康保険証のように「廃止する」という方針は出ていませんが、もともと健康保険証も昨年6月の「骨太の方針」では、「将来的に保険証の原則廃止を目指すが、『申請があれば保険証は交付される』」と明記されていて、国会答弁でも厚労相らが「カードの利用を強制するものではない」と答弁しています。
それが一転して、「マイナンバーカード」の普及のために廃止となったのですから、介護保険証についても、どうなるかわかりません。