年々、深刻さを増していく地球温暖化による被害を食い止めるために国連が打ち出した「1.5℃の約束」というキャンペーン。しかし、1.5℃の約束? なにそれ?という方も少なくないはずです。そこで、各メディアがタッグを組み、メディアの気候変動報道を強化することを目的とした〈Media is Hope〉という組織が設立されました。
今回、その取り組みの1つとして、〈Media is Hope〉に賛同した各メディア(東京新聞、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞、日刊工業新聞社)の記者の皆さんとの座談会を実施。
ラスト3回目となる本記事では、気候変動を記事として取り上げる際に心がけていること、またその中で感じる葛藤などについて語っていただきました。読者に「自分ごと」として受け取ってもらうためにはどうしたらいいのでしょうか?

座談会に参加したメンバー
東京新聞・福岡範行さん、朝日新聞・香取啓介さん、毎日新聞・八田浩輔さん、日刊工業新聞社・松木喬さん、読売新聞・中根圭一さん、東京新聞・押川恵理子さん、Media is Hope・名取由佳さん、西田吉蔵さん、司会/FRaUweb編集部
▼始めから読む
1)冬の家は寒すぎる! 朝日、読売、毎日…新聞5社が目の当たりにした「地球温暖化」の現実
2)朝日、読売、毎日…新聞5社が語った「多くの人に読まれる記事」の傾向
写真を多用した視覚的なインパクトが読者に響いた

――東京新聞の押川さんの、スカイツリーの記事のこともお聞きしたいです。読者から大きな反響があったそうですね。
「スカイツリータウンにも導入『地中熱』、日本でも普及なるか 冷暖房の省エネに効果 技術開発進む」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/226420?rct=osikawa_e
「足元もすごい東京スカイツリー 総延長12キロの大規模地域内冷暖房システム 地産地消の地中熱エネルギー」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/226568
東京新聞・押川恵理子さん(以下、東京新聞・押川) ありがとうございます。私も昨年4月に東京の経済部に異動したばかりで、そこから経済面からの脱炭素を取材しようと思ったんです。けれど先ほどから1回目、2回目の記事でも話題に出ているように紙面は陣地の取り合いで、環境問題は取り上げづらい。私は社内のSDGs推進チームにも入っているのですが、そこで「書きたいけどなかなか載らない」とボヤいていたら、編集委員の大先輩に「じゃあ脱炭素の連載を月1回でやったら?」と言われまして。今年1月から毎月第3土曜に「脱炭素社会へ」をテーマに記事を書いています。
で、東京と言えば東京スカイツリーということで、「スカイツリーの下には地下熱があって」という記事を載せたら、一面に載ったせいか「へえー!」と思ってもらえたみたいで。写真を多用したこともあって、読者からは結構な反響がありました。読者からお手紙もいただいています。
――八ケ岳のオフグリッドハウスを紹介された「明日への扉」も連載ですか?
「自然が直結『オフグリッド』住宅、宿泊体験へ 送電網も水道、ガスからも独立 知恵絞る楽しさ」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/227835?rct=osikawa_e
東京新聞・押川 はい、毎月第4土曜日に最終面で1ページやっています。こちらも宿泊してみたいという声が複数寄せられました。いずれも写真を多用した視覚的なインパクト、自分たちの暮らしとのつながりが感じやすいテーマだった点が良かったのかなと受け止めています。
――経済部ということですが、環境問題の勉強はどんなふうにされていますか?
東京新聞・押川 環境経済学の方にお話を聞いたり、本を読んだりはしていますね。だた、やはり政治や企業が変わらないとという部分があるので、今後は構造的な問題もちゃんと取材していきたいと思っています。