「反転攻勢」が近づいてきた
ウクライナの「反転攻勢」が秒読み段階に入っている。いつどこで大規模作戦を開始するのか、世界が見守っているが、なかでも、私は「ドネツク州」に注目している。バッテリーの材料になるリチウムをはじめ、重要な戦略資源が大量に埋まっているからだ。
ウクライナはまだ、正式には反転攻勢の開始を宣言していない。だが、実際には、すでに一部が始まっている可能性が高い。ロシア国内やクリミア半島のロシア軍施設などで、原因不明の爆発や火災が相次いでいるからだ。
CNNは5月11日、西側の情報を基に「前段階である形成作戦(shaping operation)を開始した」と報じた。本格攻勢の前に「ロシア軍の司令部や武器集積所、大砲などを攻撃している」という。わざわざ、敵に作戦開始を伝える必要はないので、この見方が妥当だろう。

世界情勢を左右しうるウクライナの地下資源
本格攻勢のタイミングもさることながら、場所も注目だ。ロシア軍が実効支配するクリミア半島と東部ドンバス地域を分断するために「その中間を攻撃するのではないか」という見方も有力だ。私は、とりわけドネツク州の行方に注目している。
そこには、リチウムやタンタル、ニオブといった重要鉱物が埋まっているからだ。とりわけ、自動車などに使われるバッテリーの原材料であるリチウムが貴重だ。その希少性から、リチウムは専門家の間で「ホワイト・ゴールド」と呼ばれている。まさに、ゴールド並みなのだ。