特殊な環境
歌舞伎界の事情に詳しい芸能記者が明かす。
「『女性セブン』で弟子筋へのセクハラ・パワハラ疑惑が報じられていました。酒に酔った猿之助が彼らの身体を触ったり、一緒に寝るなど強要したり、彼の醜聞が赤裸々に語られていました。そんな報道も何らかの影響を与えていたのかもしれません。猿之助さんはこうした不祥事が明るみに出たことについて、いくら自分がしたこととはいえ、恥ととらえたのではないでしょうか」
そこには歌舞伎界、という特殊な環境も影響していると前出の芸能記者は推測する。
「意外に思われるかもしれませんが、芸能人のような図太さと強かさは、歌舞伎界にはありません。子どもの頃から家に守られているため、彼らは実に繊細に育つんです。今回の報道が事実だとすれば、被害者とファンらに謝罪して、しばらく活動を自粛することもできた。しかし彼は表に出たことを恥ずかしいことだととらえてしまい、スルー出来なかったのではないでしょうか」(前出の芸能記者)
前出の芸能記者によると猿之助さん本人は悪気なくやっていた可能性が高いことも指摘する。
「ジャニーズ問題同様、歌舞伎界も非常に厳しい上下関係、家と家との関係がある格式社会のため、上に睨まれたらその後は非常にやりにくくなる。そのため、上から下への要求を拒否できない環境下にあるんです。そのようななかで、自分のしていたことを『当たり前のこと』のようにとらえてしまい、行為もエスカレートしていった可能性は十分に考えられます。だからこそ自分が加害者であったという事実を報じられたことでショックを受けてしまったのではないでしょうか」
とはいえ、「芸能界と違って、再起できない世界ではない」と話すのは歌舞伎関係者だ。
「梨園は基本的には犯罪以外は見逃されます。恋愛関係のスキャンダルはもちろん、さまざまな揉め事もこれまで明るみに出てきた。それでもみんな表舞台に復帰します。不文律は『うまくやること』なんです。タニマチだっておおらか、そう簡単に離れるわけではありません。歌舞伎ファンは離れません」