「今年もダメか…」厚労省でしばらく事務次官を輩出できていない旧労働省関係者から「聞こえてくるぼやき」

労働官僚の次官就任は遠い

'01年の中央省庁再編からしばらく、事務次官の「たすき掛け人事」が慣例となってきた厚生労働省で、旧労働省出身の事務次官が長いあいだ輩出されていない。通常国会が終われば幹部人事の季節だが、労働官僚からは「今年も次官の座は奪えなさそうだな」という嘆きともぼやきともつかない声が漏れる。

現在、事務方トップである事務次官は旧厚生省に'87年に入省した大島一博氏。岸田政権が注力する少子化対策に詳しく、昨年夏の幹部人事で先輩を差し置いて就任した。ある中央省庁幹部は「政治家に対する立ち回りがうまく、官邸中枢の覚えもめでたい」と明かす。

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大島氏の後継を狙うのが、旧厚生省の同期である伊原和人保険局長である。社会保険制度に強くアイデアマンで知られる一方で、「意見をコロコロ変える」(若手職員)という悪評も聞こえてくる。

いずれにせよ、今夏の次官人事も「大島氏の続投か、伊原氏に交代か」の二者択一で、労働官僚が入り込む余地はない。コロナ禍の3年間では医系技官が注目を浴び、少子化対策では厚生官僚が中心となっている。事務次官級の厚生労働審議官が、いまや労働官僚トップの「上がりポスト」となりつつある。

旧労働省出身の事務次官は、'13~'15年に務めた村木厚子氏が最後。「労働官僚出身者でこれから次官になる可能性があるとすれば、'90年入省の村山誠雇用環境・均等局長まで待たねばならない」(厚労省幹部)。彼らが再び日の目を見るのは、当分先になりそうだ。

「週刊現代」2023年5月27日号より

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