5月19日から21日まで、G7広島・サミットが開催されている。今回のG7サミットでの重要な課題は大きく4テーマあり、「ウクライナ情勢」「気候・エネルギー問題」「食料問題」、そして「ジェンダー平等」だ。

今回、G7の公式的なエンゲージメントグループのひとつである、『W7(Women7)』の共同代表として広島入りしている福田和子さん。福田さんは、緊急避妊薬や性的同意などジェンダーに関する問題に取り組む20代のアクティビストだ。W7(Women7)は、世界中の市民社会から声を集め、G7の成果を踏まえ考察し、ジェンダーに関する情報を提供することを目的にしているという。

福田さんは、広島で何を感じているのだろうか。

福田和子さん(上左端)が共同代表を勤めるG7のオフィシャルエンゲージメントグループの『W7(Women7)』と『P7(Pride・LGBTQ+の人権保護)』のメンバーと広島にて。写真提供/福田和子
 

進歩は見えつつも、進まぬジェンダー政策

ジェンダー平等のために声を上げて早5年。

今、日本のジェンダー関連政策は、これまでにないほど大きな、変化のビッグウェーブを迎えているように思う。同時に、それらを進めまいとする防波堤も高く高くそびえ立っている。

まずは、『LGBT理解増進法』だ。
岸田首相は2023年2月1日の国会答弁で、同性婚について「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と答弁した。さらには、当時の首相秘書官も、「秘書官室は全員反対で、私の身の周りも反対だ。同性婚導入となると国を捨てる人、この国にはいたくないと言って反対する人は結構いる。隣に住んでいたら嫌だ。見るのも嫌だ」とオフレコで記者団に述べた。

それらに当事者団体は抗議の声を上げ、それらをきっかけに政府はLGBT理解増進法の検討を再開した。しかし、保守派の反発を受け、5月19日のG7開催ギリギリにまとまった自民党修正案では「差別は許されない」という文言は「不当な差別はあってはならない」に変えられ、当事者たちが望む差別を禁止する法律や同性婚の法制化には程遠い。

また、性暴力については、当事者の悲願である『不同意性交等罪』が実現しそうだ。そして歳の性的同意年齢が16歳に引き上げられそうだが、13歳から15歳の場合の処罰の対象は「5歳以上」年上の相手のみとされそうだ。一方で、そもそも性的同意や対等な関係性とは何か、性と生殖に関する健康と権利にいても学ぶ包括的性教育の実施は、相変わらず阻まれている。

『緊急避妊薬のOTC化』についても、当事者が声をあげ、2022年末から2023年1月にかけて集まったパブリックコメントがそれぞれ4.6万件、1.2万件と歴史的な数集まった。しかし、緊急避妊薬は一部薬局での試験的実施、データ収集の上で検討になる可能性が言われている。さらに、『経口中絶薬』に関しては、費用に関して中絶手術と同様10万円と言われ、服用には配偶者同意が必要という流れで進んでいる。結局、どちらもアクセスの改善は非常に限定的となる。