「インフレ」「人手不足」に負けない好調な日本企業…投資の明暗を分ける「意外な業界」
物価上昇や人手不足が深刻化しているのにも関わらず売り上げを伸ばす企業が続出している。「「インフレ」でも業績を伸ばした日本企業…投資するなら「専門商社」を選ぶべき理由」食料品メーカーにフォーカスして収益増の理由に迫ったが、後編では鉄鋼業界に切り込む。
それでも「安いニッポン」
このところ、堅調な株価推移を見せてきた鉄鋼業界も明暗が分かれそうだ。マーケットバンク代表の岡山憲史氏が言う。
「建築用の小形棒鋼が主力の東京鐵鋼は、都心部を中心とした高層マンション向けの需要増と、価格転嫁の進捗で、今期大幅増益の見通し。高炉国内3位の神戸製鋼所も、素材の調達コストの増加を価格転嫁し、収益を確保する見通しです」
一方、粗鋼生産量で国内トップの日本製鉄は、原料価格の高止まりを製品価格に転嫁することができず、今期大幅な減益を見込み、株価は低迷している。

「これまで急ピッチで電気料金を値上げしてきた電力各社も業績は改善する見込みです。なかでも中部電力と関西電力は、今夏の値上げを予定していません。つまり、これまでの値上げで十分に収益を確保できるということです」(ちばぎん証券元顧問の安藤富士男氏)
電気料金や物価はどんどん上昇しているが、海外から見ると日本のインフレ率はまだまだ高いとは言えない。したがって、「安いニッポン」で買い物を楽しもうと、海外訪日客のインバウンド需要は旺盛だ。外国人観光客相手のビジネスはまだ値上げの余地がある。
「地域限定のお土産菓子を製造・販売する会社をいくつも統括する寿スピリッツは、消費者の低価格志向とは一線を画す存在です。購買意欲が旺盛なインバウンド客にも人気があるため、強気な価格設定を能動的に行うことができます」(グローバルリンクアドバイザーズ代表の戸松信博氏)