健康な40代の3割が「隠れ脳梗塞」ーー記憶力が低下する原因は「◯◯不足」だった
40代から記憶力は低下し始めるという。その原因とは何なのか?
脳科学者・澤田誠さんの新刊『思い出せない脳』は、日常的な「記憶の謎」のメカニズムから、記憶という能力の本当の意味まで、記憶研究の最先端の知識を分かりやすく解説する。
今回は、記憶力低下の原因と、飲酒によってアルコールが脳に与える影響について解説する。
脳細胞を減らさないために必要なこととは何か、日常的に気に留めておきたい。
※本記事は、澤田誠『思い出せない脳』から抜粋・編集したものです。
血流不足で脳細胞が死んでしまう
記憶力を担う神経細胞は加齢とともに減っていってしまうため、記憶力は年を取るとともに次第に悪くなっていきます。
神経細胞が加齢で死ぬ主な原因は、血流不足です。脳は体重の40分の1程度の重さしかありませんが、身体全体の約2割の酸素を消費します。酸素を消費するのは脳にある細胞たちです。すべての細胞に酸素を届けるために、隅々まで細かい血管が張り巡らされています。
けれども、年を取って、動脈硬化などで血管の内側が狭くなると、その細い血管内まで血液が流れにくくなります。また、悪玉コレステロールや糖が多い血液によって血管が傷つけられたり詰まったりします。年齢を重ねていくと自覚できないほど小さな脳梗塞が脳の中で起こる確率が高くなるのです。その隠れ脳梗塞が起こると、そこから先で血液を待っていた神経細胞は死んでしまいます。小さな脳梗塞は健康な40代で3割、60代になると7割の人に見られると言われています。