「ルフィ」事件以降、連日のように報道されている闇バイト関連の強盗や詐欺事件。つい先日も日中堂々と銀座の時計専門店に押し入って金品強奪を働き逃走するも、あっという間に逮捕された少年らによる強盗事件が起こったが、その無謀で杜撰、超暴力的な犯行手段を見聞きするたびに、恐ろしさと驚きで身が震える。
強盗だけでなく、特殊詐欺などでも未成年を含む若者たちが実行犯として捨て駒のように使われている数々の事件を見ても「うちの子だけは絶対大丈夫!」と断言する親がいるとしたら、それはもしかしたら「現実を知らなすぎる」といえるのかもしれない。
巧妙に子どもたちを犯罪に誘い込む闇バイトの仕組み、そしてあまりにも簡単に犯罪に手を染める子どもたち側の事情、彼らが逮捕されて初めて知る自身の罪の重さや一生ついて回る様々な償いの莫大さについて、元法務教官(少年院の先生で法務省の国家公務員)という異色の経歴を持つ、VTuberの“かなえ先生”に語ってもらった。


SNSの闇バイト募集投稿を読み解く
そもそも「闇バイト」とはどのようなものなのか。
「具体的に公的機関から定義が示されているわけではないので私の解釈になりますが、闇バイトとは一般的にはSNSやインターネット掲示板などで募集されている犯罪行為に該当する非合法な仕事です。特徴としては、求人の際に短時間で高収入、即日即金など甘い言葉を使い、犯罪性を隠している点が挙げられるでしょう。若者を中心とした新しい犯罪のトレンドだと思われがちですが、実際には中年や高齢者も応募して検挙されている例もあります。
そもそも犯罪は仕事ではありません。どんな言い訳しても犯罪は犯罪です。私自身は『闇バイト』という優しい言葉が、自分の将来を潰してしまうかもしれない『犯罪行為/危険な行為』であることを繰り返し伝え続けていかなくてはと思っています。 『万引き』は『窃盗』だし、『子どもへのいたずら』『痴漢』は『性犯罪』、『性的行為を伴うパパ活』は『売春』と、『闇バイト』も『重大な犯罪』と社会全体が再認識していくことが改めて必要になった段階に入ったのではないかと思っています。
特に、最近は自ら応募するだけでなく、脅迫されて闇バイトに手を出してしまうケースも目立っています。厳しい処罰だけなく、加害者側の抱える問題にも焦点を当てて考えない限り、このような犯罪は減らないでしょう」(かなえ先生)
