2023.05.26
# 不動産

誰もが羨む地上30階のタワマンを購入したが…世帯年収「1400万円」の「公務員夫婦」に訪れたヤバすぎる数々の「落とし穴」

奥林 洋樹 プロフィール

パワーカップルにはすこしでも多く貸しつけたい金融機関の心理

何とか契約にこぎつけたいのは不動産の営業マンだけでない。金融機関にも同様のことが言える。

パワーカップルはいうに及ばず、安定した生活をしている人に対し少しでも多く貸し付けたいのが金融機関の本音である。とくに住宅ローンは事業融資などと比較しても「貸し倒れリスク」の低い金融商品である。

貸し倒れリスクが低いからほとんどの場合確実に回収できる目処がたつうえに、金利を安くしても長期的にみれば貸付金額以上の利息を得ることができる。「安全で確実性の高い利益が得られる」のだから1件でも多く住宅ローン扱いたいのだ。

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ただ誰にでも貸し付けていては事故率が高まるため、金融機関は一定の審査基準を設けている。

大別すれば物件の担保評価と人的評価であるが、日本の金融機関は人的評価を重視する。なかでも勤務先属性や勤続年数、所得、金融事故歴などは最重要の審査項目だ。

一般的な勤務先の場合、年収にたいする住宅ローンの家計負担の割合いわゆる返済負担率は20~30%までである。

だが公務員を筆頭に上場企業や医師など社会的にステータスが高い勤務属性にたいしては、返済負担率も個別に判断される。つまりは取り逸れる危険性の少ない先には少しでも多く貸せとの心理が働いているのだろうが、所得によっては返済負担率が50%に達していても承認されるケースもある。

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