タワマンでの生活がさらに返済を苦しくさせる
返済が厳しくなったのはそれだけが理由ではない。
全てのタワーマンションに当てはまるものではないが、住人同士の見えの張り合いがある。駐車場に停めている自家用車の値踏みはもちろん、マンション内ですれ違うときの互いの服装や持ち物などが目ざとく比較される。いわばセレブの中のヒエラルキーといったものが存在しているのだ。

実際にそれまでは車など乗れれば良いと考えから、一般的なグレードの大衆車を定期的にメンテナンスしながら大切に乗っていた。だが、タワーマンションの駐車場に隣り合う車はいずれも高級車だ。誰に指摘される訳でもないが脅迫観念が生まれる。
もともと車に興味のなかったAさんも、「この車では恥ずかしい」という家族の言葉に後押しされ思い切って高級車に乗り換えた。それ以降も着る服や持ち物など一次が万事そのような状態が続く。
世帯年収が1,400万円あっても生活レベルをあげていけばいずれ追いつかなくなる。気がつけば住宅ローンの支払に困窮するようになった。その後の末路は前述したとおりである。