2023.05.26
# ボクシング

井上尚弥に続き弟・拓真がボクシング世界バンタム級王座獲得!「でも、まだまだ先がある」……井上兄弟のトレーナーである父・真吾氏に聞く

41歳リボリオ・ソリスとの王座獲得戦

──さて王座を獲得したリボリオ・ソリスとの一戦ですが、相手は41歳、かなり力が落ちているのでは、という戦前の予想もありましたが。

真吾:でも力は変ってなかったですね。やっぱりあの年齢で世界ランクの上位にいるということは、それだけ練習をしているということだと思うんです。それにあれだけ年齢を重ねているということは、それだけ経験を重ねているということなので、自分は警戒してました。

──戦前、ソリスはどのように評価していらしたのですか? 「行ける」という感触はあった?

真吾:それはありましたけど、基本的に自分たちは相手を下に見た想定はしないんで、やはり警戒はしてました。リーチが長くて、独特の間合いがあって、変なタイミングでパンチが来るので絶対、簡単には行かないよと。

拓のスピードについて行けないことは相手もわかっているから、泥仕合の展開といいますか、わざとガチャガチャ、蟻地獄に引き込もうとするだろうと思っていました。だから拓には足を使ってサイドを取り、極力、相手の土俵に立つのはやめようねと言いました。

(写真提供:井上真吾氏)

──5ラウンドにリオスの肘が当たって拓真さんが目を切りました。あれ、どうなんでしょう? ちょっと故意っぽい気もしましたが。

真吾:自分のほうからは陰になってて見えなかったんです。レフリーが止めて拓がこっちを振り返って「肘だよ」と言ったんです。そのあとで映像が出て、それを見て、これはほとんど故意なのかなーと。あんだけ離れたところからあんなふうに肘を出すなんて、普通あり得ないですもん。昔の選手って、「反則も見つからなければ技術のうち」みたいな感覚もあったじゃないですか。ソリスも古株の選手なので、そういう認識だったんじゃないか。練習でやってなかったら、あんなタイミングであんなこと、出せないですよ。自分なんかはそう思っちゃいますね。

──さすがにそこまでやるとは想定外だった?

真吾:そうですねー(苦笑)。頭が当たるとかは心配していましたけど、あそこまでは考えてなかったです。でも佐久間さんのおかげで血は止まって、大事に至らなかったのでよかったです。あのまま血がだらだら流れ続けてたら、拓真も不安になるじゃないですか。ほんと佐久間さんはすごいです。

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