拓真の「おっ!」とくる強さをアピールしたい
──試合自体は、ほぼ拓真さんがコントロールできていた?
真吾:そうですね。ほとんどこれといったパンチはもらってなかったので。
──とすると、最初におっしゃっていた、この試合で見えた課題というのは何なのでしょう。
真吾:今回はタイトルを獲ることを最優先にしていたので、相手のパンチをもらわないことを最優先にしましたが、これからは、それに加えてこちらから相手にダメージを与える強いパンチを打ち込む、「倒すボクシング」をしていかなければならない。皆さん、ご覧になっていてわかると思うんです。ときには足を止めて、相手を下がらせるようなボクシングもしなければならない。そのための「引き出し」を作っていかなければならないと思っています。
──そういうボクシングをするためには、さらにテクニックを改善しなければならないのか、それとも、むしろ気持ちの持ちようなのか?
真吾:気持ちですね。少しリスクを冒しても相手を倒しに行く。
──たしかに試合後のネットの評などでは、その部分に不満を述べたものが多かったように思います。
真吾:やっぱりボクシングの醍醐味はKOですから、そこを求められるのは当然で、「仕留める」という期待に応えられるようになりたいです。
それを、いまのテクニカルなボクシングと融合させるのが課題です。「うまさがあって、強さもある」。これまで得たものをばらすんじゃなくて、さらに進化させる。尚はもうそれができてるんで。見てて、みんなが「おっ!」とか「ぐっ!」と来るような「強さ」。親として、そういう拓をアピールしたいという思いは強いです。
ネットに書いている人だけじゃなく、自分も拓真も、そこはまだ足りないと思ってるんで。これが拓真の完成形ではなく、まだまだ先がある。その「完成形」に少しずつ、これから近づけてゆきたいです。
(2023年5月16日電話インタビュー。聞き手:講談社現代新書編集部)
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