最後はなりふり構わず八つ当たり、中国のG7妨害外交の挫折

習vs岸田、世紀の合従連衡攻防戦

マクロン籠絡される

今年4月18日のG7外相会合の開催から5月21日のG7サミット閉幕までの数十日間、台湾の未来を巡って自由世界陣営と中国との間で、そして日本の岸田文雄首相と中国の習近平国家主席との間で、世界の運命を決する外交上の全力戦が展開され、壮大なるスケールにおける世紀の合従連衡が演じられた。

まずは4月18日、日本で開かれた先進7ヵ国(G7)外相会合は注目の共同声明を発表した。そこでは中国に対して、威嚇や強制、脅迫、武力の行使を控えることを求める一方、台湾問題に関しては、「国際社会の安全と繁栄ににおいて台湾海峡の平和と安定が不可欠」との共通認識を示し、「力又は威圧によるいかなる一方的な現状変更の試みにも強く反対する」との強い立場を表明した。

中国の習近平政権が台湾侵攻への準備を着々と進め、「台湾有事」の危険性が高まってきている中で、日米を含めたG7諸国が一致団結して中国の台湾侵攻を許さない強い意志を明確に示したことの意義は決して小さくはない。

4月6日、マクロン訪中  by Gettyimages

振り返ってみれば4月初旬、フランスのマクロン大統領は中国を訪問した際に、習近平主席による異例の厚遇と利益誘導でまんまと籠絡された。帰国の途中で大統領が「台湾の危機はわれわれの危機ではない」との衝撃発言を行い、西側の結束を乱して中国の台湾侵攻を助長するような姿勢を示した。

 

それは、西側を離間させ台湾侵攻に有利な国際環境を作ろうとする習近平外交の勝利だったが、幸い、その直後に訪中したドイツ外相は台湾侵攻に対する反対の態度を中国側に明確に伝えた一方、国際社会の反発を前にしてフランスも問題のマクロン発言からの軌道修正を始めた。

そして先述のG7外相会議ではフランス外相も参加の中で西側は再び足並みを揃えて台湾問題への明確な姿勢を示した。「台湾」をめぐる習近平中国と西側との合従連衡攻防戦の前哨戦はこれで、習近平中国の失敗を持って終わった。

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