主要4団体統一王者を制覇した「日本ボクシング界の最高傑作」井上尚弥につづき、弟・拓真が世界バンタム級王者となった。
尚弥に続き、拓真は何を目指しているのか?
尚弥・拓真兄弟のトレーナーであり父である井上真吾氏に現代新書編集部が話を聞いた。
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拓真はクールな常識人ゆえのリミッターがある
──お父さんの目から見て、拓真さんに今後必要とされるのは、どのようなことでしょうか。
井上真吾:気持ちですね。やはり性格ってあるじゃないですか。拓の場合、ボクシングに対して、むしろもっと乱暴でもいいんじゃないか。ボクシングというのは「殴り合う」競技なので、そこのところでは妥協したくないよね、という話はしています。
尚弥は「天然」なので「どーんと行っちゃえ!」ってリミッターをはずせるんですよ。でも、拓真はクールというか、もっと常識人なので。でも場合によっては尚みたいにいかなければならない場面はあるわけで、拓真の場合、どうやって気持ちをそっちに持って行けるかが課題です。

──尚弥さんは、お父さんは否定されますが、やはり天才だと思うのです。天才には、われわれ凡人の応援はさほど必要ないのかも知れない。いっぽう拓真さんは、よりわれわれに近い性格の方なので、むしろ「頑張れ!」と応援する方もけっこういらっしゃるような気もします。
真吾:たしかに自分の周りにも、拓真のテクニカルなボクシングが好きと言ってくださる方もけっこういらっしゃるんです。自分も、性格は人それぞれなんで、いろんなスタイルのボクシングがあっていいと思うんです。でも(力を込めて)やっぱりボクシングの華はKOなんで、そこにはこだわりたいんです。