2023.05.26
# AI

「10年後、AIに仕事が奪われる」と予測したオックスフォード大学教授が語る「そこまで仕事は奪われなかった。しかし…」

「オズボーン・レポート」から10年

今年2月、アメリカの法曹界を揺るがす大きな事件が起こった。ある著名なエンジニアが、弁護士業務を代行するAIの開発に成功し、「法廷で史上初のAIロボット弁護士を登場させる」と発表したのだ。

AIを利用したアプリの開発が盛んなアメリカ。AIが不動産屋との家賃交渉を行ったり、文章を打ち込めばそれに沿った動画をAIがあっという間につくってくれたり、といった魔法のようなサービスが日々生まれているが、ついに弁護士業までAIが代行できるようになったのだ。

 

「この『弁護士AI計画』は最終的に弁護士会の猛反発にあったため計画の延期を余儀なくされましたが、アメリカでは、人工知能の進化の速さを象徴する出来事としてとらえられています」(在米ジャーナリスト)

AIは人間の仕事をどこまで奪うのか。仕事を奪われた人間はどこに向かえばいいのか。

PHOTO:iStock

並大抵の人間ではこの難題に答えを出すことはできないだろうが、一人、適任者がいる。オックスフォード大学で人工知能の研究を行っているマイケル・A・オズボーン教授だ。

いまからちょうど10年前のこと。オズボーン氏は、同大学の研究員だったカール・フライ氏と共同で一本の論文を発表した。「未来の雇用」と題されたこの論文でオズボーン氏は「今後10年から20年でなくなる仕事」を予測。各仕事に必要なスキルを仔細に調査したうえで、そのスキルがAIや機械技術の向上によってどんな影響を受けるかを検討したのだが、その結果、「702の職種のうち、47%がAIに代替される」と発表し、世界中に衝撃を与えたのだ。

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