「すべての訪問者は、日本軍兵士がいかに勇気があり命をささげたかを語るべきだ」…第二次大戦のニミッツ提督の言葉が残る日米の激戦地・ペリリューに「いま米軍が今戻ってきている理由」

牧野 愛博 プロフィール

台湾にグアムよりも約400キロも近いペリリュー

飛行場は旧日本軍が造成した当時の「4の字形」ではなく、1本の滑走路があるだけだった。滑走路はあちこちに水たまりがあり、雑草が生えていた。ただ、周囲のジャングルはきれいに刈り取られていた。滑走路には2カ所だけ、舗装された場所があった。2015年4月に天皇皇后両陛下が来島したときに使った「臨時ヘリポート」だった。滑走路の端に、はショベルカーやトラックなどが置いてあった。整地用に使うグレーダーもあった。

ペリュリュー飛行場/写真:牧野愛博
 

ジョエルさんは「米軍の重機です。まもなく、これらを使って滑走路の補修を行うのだと思います」と話す。

ペリリューは台湾まで約2400キロ。同約2800キロのグアムよりも近い。

米軍は今、各軍種が小型化や無人化、分散化を特徴とした部隊の再編を急いでいる。中国軍の中距離弾道ミサイルや空母打撃群の脅威に対抗するためだ。米空軍は、廃棄された飛行場や民間の飛行場などをかき集めている。パラオ政府は「災害でパラオ本島の飛行場が使えなくなったときのために備え、再整備を米国にお願いした」と説明している。ただ、自由連合盟約で、米国はパラオの安全保障上の権利を独占している。

米軍は昨年夏の軍事演習で、アラスカに配備したF35ステルス戦闘機をパラオに着陸させた。パトリオット地対空誘導弾の発射訓練も行った。パラオは、小笠原諸島からグアムを通り、パプアニューギニアまで延びる「第2列島線」上にある。

中国軍は、九州から沖縄、台湾、フィリピンを通り、南シナ海を囲むように延びる「第1列島線」と「第2列島線」のなかで、米軍を自由に活動させず、第1列島線の中には米軍を入れない「接近阻止・領域拒否(A2/AD)」戦略を持つとされる。

第2列島線上にあるパラオは、グアムと共に、台湾有事の際に米軍が展開する有力拠点の一つになるとみられる。

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