世界一の自動車メーカー・トヨタの「全方位型の戦略」はいつまで続くか? 世界の動向から見えること
トヨタの事業戦略
5月10日、トヨタ自動車は2022年度の連結決算を発表した。
売上高は前年度比18.4%増加の約37兆円に達した。
世界的な車載用半導体の不足が徐々に解消され、販売台数は増加した。
営業利益は同9%減の2.7兆円だった。
外国為替市場で円安が進んだことは収益を増加させたが、資材高騰の影響によって営業利益は前年度実績を下回った。

2023年度、トヨタはEVに偏らず、ハイブリット(HV)など全方位型の戦略で増収増益を実現しようとの意図だろう。
車載用半導体の調達体制の強化、生産性の向上などを背景に生産台数は前年度比10.6%増の1010万台に達する見込みだ。
車種ごとに確認すると、トヨタが競争優位性を発揮してきたハイブリッド車を中心に世界販売は増加する。
売上高は38兆円に達する計画だ。
一方、世界の自動車業界ではEVシフトが鮮明だ。
特に、ドイツのフォルクスワーゲンは電気自動車(EV)メーカーとしての成長を目指す方針を明確に示している。
投資の規模、EV販売体制強化のピード感はトヨタを上回る。
EVシフトに対応するためにトヨタがどのような事業戦略を策定、実施するかは、自動車産業に大きく依存してきたわが国にかなりの影響を与えるだろう。